こんにちは!
ジョーです!!
航空機紹介、今回は海上自衛隊で活躍するヘリコプター「SH-60K」についてご紹介します。
哨戒機というカテゴリーですが、実は同じカテゴリーの固定翼機(飛行機)であるP-3CやP-1とは違った考え方で生まれた航空機です!!
今回はそんなフリートサブマリンハンターについて紐解いていきます!!
SH-60Kの概要
SH-60Kは海上自衛隊が運用する哨戒ヘリコプターで、前任となるSH-60Jの改良型として開発されました。 2001年8月に初飛行し、2002年に海上自衛隊に納入され現在も主力ヘリコプターとして活躍しています。開発・製造は三菱重工が行いました。
開発された際、ルーツとなったSH-60Jから大きく見た目が変わったため、「魔改造」などと一部の軍用機ファンから呼ばれていました。
主な改良点は、
・キャビンの拡大
・搭載機器の増加、高性能化
・グラスコクピットの採用
です。
また、護衛艦に乗艦しながら(自衛隊では「搭載」と呼びます)運航することが前提になるので、キャビン(=胴体)を大きくしようとすると、当然より大きく重たくなります。そのため、これまでと同じような離着陸性能を発揮させようとすると揚力がより必要になりますが、その揚力を増やすためにはローターも大きくすることが最も手っ取り早く実現することができます。
ただし、搭載する護衛艦の格納庫や甲板のサイズが変わるわけではないので、ローターの直径をSH-60Jと同じサイズにしなければなりませんでした。そこで考案されたのが、SH-60K最大の特徴でもある複雑な形状のローター先端部です。
この上下に入り組んだ形にすることで直径を変えずに揚力の発生量が増加できました。
外見の特徴
SH-60Kは、軍用ヘリコプターの例に漏れず見た目にゴツゴツしていますが、その中でもこの機体独特の特徴がいくつもありますので紹介します。
複雑な形のメインローター
前述したように、大きく重たくなった機体でもローターの直径を変えずに従来のヘリコプターと同等以上の飛行性能を発揮させるため考案されたのがこのメインローター(ヘリコプターの上部にある一番大きいプロペラみたいなやつ)です。先端に向かって上下に入り組んだ角度が特徴で、立体整形されているところが世界的に見ても珍しいです!
折り畳みができる前後のローター
SH-60Kは、護衛艦に乗せて狭い格納庫に入れるため、そのサイズに収まるよう設計されています。そして、狭いところでも機体のキャビンを小型化しなくてもいいようメインローターなどを折りたたむことができます。
多くの機器が詰まったノーズ
前任のSH-60Jと比較し、ノーズが少し前方に伸びました。伸びた分のスペースにはFLIR(前方監視赤外線装置)やESM(電波探知装置)など任務の時に必要なセンサーやコンピューターを搭載しています。
さらに、データリンクをはじめとした通信機器も新しいものにアップデートされています。
左右非対称の機外装備
SH-60Kは、左右にあるパイロンの長さが異なります。特に機体の左側は、ミサイルランチャーを搭載できるよう長めに作られており、先に向かうにつれて少し上へ跳ね上げるような形になっています。
右側は短いですが、こちらには魚雷を搭載することが多いようです。
スペック
SH-60Kの基本スペックは次の通りです。
全 長 | 19.8m |
全 幅 | 3.3m(メインローター折り畳み時) |
全 高 | 5.4m |
エンジン | T700-401C2(1,800馬力)×2 |
最大速度 | 257km/h(139kt) |
全備重量 | 10,872㎏ |
SH-60Kの任務
SH-60Kは哨戒ヘリというカテゴリーですが、様々な任務に対応しています。
対潜戦
潜水艦を撃沈させることが究極の目的ですが、冒頭でも書いた通りP-3Cなどの固定翼哨戒機と少々コンセプトが違います。P-3Cなどの固定翼機(飛行機)は、捜索・識別・追尾・攻撃までの一連の行動に関して陸上基地のサポートを受けつつも自己完結するように作られています。
ところが、SH-60Kは護衛艦のセンサーの一部として任務を行うよう作られています。そのため、基本的には護衛艦で繰り広げられる作戦をサポートすることがメインとなります。
対水上戦
SH-60Kから対艦ミサイルのAGM-114というミサイルが運用できるようになりました。ミサイルも小さいので、護衛艦のような大きい船ではなく小型の船がメインターゲットになります。
捜索救難
海難救助をはじめとしたレスキューも行います。しかし、機内に収納されたセンサーやコンピュータがキャビンにあるので、レスキュー専用機のUH-60Jよりキャビンは狭いという問題点があります。また、海上自衛隊のUH-60Jが退役するため、救難仕様機がまもなくデビューするとのことです。
これは、レスキューでは不必要となるソナーなどの捜索機器を取り外して、その分キャビンや燃料タンクを拡張したものになるとのことです。
サブタイプ機 救難仕様機
海上自衛隊の第21航空群(館山)は、2023年11月中旬にSH-60K(救難仕様)を配備したとXで発表しました。
捜索機器を取り外して、その分機内のスペースを広げたとのことです。
外見からは胴体の右側に搭載していたMAD(磁気探知機)と機体の下面に穴(ディッピングソナー用)は無くなりました。
そのほかにも、機内に装備していたディッピングソナー(潜水艦を探すための吊下げ式の音響センサー)などを取り外して機内スペースを広げたそうです。
SH-60Kの配備基地
SH-60Kは、全国にある海上自衛隊の航空基地に配備されており、哨戒部隊・試験部隊・教育部隊の3つのカテゴリーがあります。
・哨戒部隊:大湊、館山、舞鶴、小松島、大村
・試験部隊:厚木
・教育部隊:鹿屋
おわりに
海上自衛隊の主力ヘリコプターであるSH-60Kについて紹介しました。自衛隊に在籍しているときヘリ部隊ではSH-60JとKの2タイプがいましたが、当時は「SH-60Jの方が速くて小回りが利く」なんて感想も聞いたことがあります。
しかしながら、センサー性能などが高性能になり、任務時により精度の高い情報を収集し提供できるようになったのでより現代の戦い方にマッチした部分もあります。
そんななかでこの機体は既に後継機となる「XSH-60L」が開発中で、機体の初期ロットについては退役が始まりました。これからは無人機の導入もありこのようなヘリコプター配備機数が少し減るようなので、見られるうちにたくさん見た方がいいかもしれませんね。
ちなみに、1度キャビンへ乗ったことがありますが、やはりコンピューターやソナーが場所をとるので狭かったと記憶しています。
もう少し詳しくこのヘリコプターについて知りたいと思った方は、下記の本が比較的分かりやすく情報が網羅されているので読んでみてはいかがでしょうか?
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