こんにちは!ジョーです!
5月27日よりトップガンマーベリックが上映されました!
私も1度観に行きまして、オープニングから涙腺崩壊していました!!やっぱりトップガンは私にとってパイロットになる原点であり、そしてこのブログを通じて自衛隊やパイロットの世界についてもっと理解してほしい!と痛感したひと時でした。
今回はトップガンという作品をより楽しんでいただくため、主役となった2つの戦闘機について少し解説させていただきます。
トップガンに登場する戦闘機について
トップガンではご存じの通り空母に発着艦をする戦闘機のダイナミックな描写が有名です!私も幼いながらに画面の手前で「カッコイイ・・」とつぶやいていました。物語の中心に描かれる戦闘機たちについて軽く説明します。
初代主役機 F-14トムキャット
F-14は1970年に初飛行した艦隊防空を目的にグラマン社(現ノースロップ・グラマン社)が製造した戦闘機で、1973年に部隊配備されてから2006年までの33年間アメリカ海軍を支え続けました。日本にも厚木基地を拠点に運用していたり航空自衛隊がF-15を導入する際、競合候補としても有名です。
この戦闘機を作るにあたり当時の米海軍が要求したことはこの2つです。
・長射程対艦ミサイルを搭載する大型爆撃機の射程外から
迎撃ができる長射程ミサイル(AIM-54フェニックス)を運用できること
・空母着艦をより安全に行うための低速性能を備えていること
まさしく空母ひいてはその周りを守る艦隊を守り抜くために作りあげられた戦闘機なのです!
高速性能と低速安定性を両立させる
F-14と言えば可変翼が非常に特徴的です。先ほども触れた低速性能に加えて敵爆撃機を迎撃ポイントへ向かうための高速性能と一見矛盾する性能を両立させるために導き出された回答がこの可変翼でした。
この「可変翼」という形態は、速く飛びたいときは翼を後退させ空気抵抗を減らし、低速で飛びたいときは翼を広げて揚力を増し、より低速でも操縦性を保ちながら飛行することができます。しかし、可変翼でない飛行機と異なり、複雑な可変機構を組み込むため機体の大型化や重量増加を招くというデメリットもあります。
F-14では重量増加の対策として、当時最新のチタン合金を多用し軽量化を図りました。また、飛行中の翼の角度を自動で変化させる機能も付与され、速度に応じて最適な角度を自動で設定されるようになりました。(それまでの可変翼機はマニュアルで予め設定させた角度にセットする。)
可変翼がもたらしたもの
前項で可変翼について触れましたが、これによりもともと要求していた性能以外にもいくつか強みができました。
・空母搭載時、翼の折り畳み機構が不要になった→代わりに駐機用の角度が設けられた。
・大型化したことで拡張性が高い→部隊配備後に防空のほか、爆撃・偵察機能が追加された。
・操縦性が高くできたため特に低速域でのドッグファイト性能が向上した→トップガンのドッグファイトシーンが有名
実戦でも少ないですが、ドッグファイトの末撃墜した記録も実際に残っております。また、同時期に開発されたF-15とライバル視されることもあり模擬空中戦では勝利したという話も伺います。名実ともに冷戦期最強の戦闘機ですね!
2代目主役機 F/A-18 E/F スーパーホーネット
さて、時代は移り変わり1990年代へ移ります。それまではF-14などの空母艦載機は単一の任務に特化した戦闘機や攻撃機が活躍していましたが、冷戦終結を理由に国防費の削減が進められ、艦載機もその流れに乗るように運用する機種の統一が少しずつ始まりました。
その先駆けとなる戦闘機が「F/A-18 ホーネット」です。これは防空・攻撃それぞれの任務を1機種でこなせる戦闘攻撃機として誕生しました。これは、それまで活躍していた「A-6イントルーダー」や「A-7コルセア」をはじめとする攻撃機や運用コストの高い「F-14トムキャット」の一部を装備更新という形で配備が進みました。
また、この時「A-6イントルーダー」の後継機の開発計画が別途進められていましたがこちらも国防費削減の影響で開発が中止されています。そのため艦載機の打撃力をF/A-18とF-14の爆撃機能の追加で補いました。
しかし、F/A-18は小型軽量で運動性能や加速性能がよく機敏でした。しかしその反面、航続距離や兵器搭載量、拡張性で物足りないところがあり、アメリカ海軍はその改良と老朽化が進むF-14の後継機としてF/A-18の拡大発展型の採用する意向を発表し「F/A-18 E/F スーパーホーネット」の開発が開始されました。
つまり「トップガンマーベリック」でF-35のような最新の戦闘機ではなく、スーパーホーネットが主役機になるというのは、このような時代の流れから見ると非常にリアルな流れなんですね!
真のマルチロールファイター スーパーホーネット
F/A-18を拡大改良し誕生したスーパーホーネット、政治的な思惑も絡んだ結果かなり多様な任務ができるようになりました。その内容が次の内容です。
・防空
・対地・対艦攻撃
・偵察
・空中給油母機
ちなみにスーパーホーネットが配備されるまでは、
・防空→F-14、F/A-18(防空任務補佐)
・対地攻撃→F/A-18
・偵察→F-14
・空中給油母機→S-3
の3機種に分けられており、これらを統一できたことで調達する部品・弾薬・装備品など様々な部分で予算や訓練期間の圧縮などができました。
ちなみに一般的にマルチロールファイターと言われる戦闘機は対空・対地の戦闘に対応できる戦闘機を指すことが多いため、それに比べるとより多岐にわたる任務が可能です。
ちなみに自衛隊に在籍している際、とある勤務地で航空自衛官の同僚(イーグルドライバー)がいましたので時々訓練などの話を聞いていたのですが、スーパーホーネットとDACT(異機種間空戦訓練)を行った際、低速域でのドッグファイトでは歯が立たないと話していたのを聞いてかなり驚きました!
終わりに
今回はトップガンをより楽しんでいただくため、作品内で活躍した「F-14トムキャット」と「F/A-18 E/F スーパーホーネット」についてお話しました。
トップガンの2作品でのアクションシーンを比較すると実はそれぞれの戦闘機の強みがよくアピールされていることにお気づきでしょうか?
1作目のトップガンでは「艦隊防空戦闘機」ということで冒頭と最後の空戦はいずれも敵戦闘機とのドッグファイト、2作目トップガンマーベリックでは低空侵攻からの精密爆撃+ドッグファイトとそれぞれの機種の強みと呼ぶべき部分をこれでもかとアピールしています!
ちなみに、F-14がクルクルと回りながら墜落するシーンも実は実在する特性で、F-14のパイロット達の頭痛の種となる悪癖でした。
これはF-14A(初期型のタイプ)に搭載していたTF30というエンジンが非常にデリケートで、一定の条件下でコンプレッサーストール(エンジン内の空気の失速)が発生しエンジンが止まることと、間隔が空いたエンジンの配置のため片方のエンジンが止まった時の大きいヨーモーメントでコマのようにクルクルと回りながらコントロール不能となるのです。
このようにそれぞれの戦闘機の持ち味を存分に出しながらストーリーを描いているからこそトップガンは面白いのだと思います!
また、トップガンマーベリックに関しては前作トップガンから継承している部分も多いため、マーベリックから観た人はトップガンも、トップガンを既に観た人はマーベリックもと2作ともループするように観る人が多い気がします。
最後にパイロットを目指すきっかけとなったこの作品への感謝と敬意を込めて・・・
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