【飛行機紹介】フランスの万能戦闘機 ラファール

着艦するラファールM 飛行機紹介

こんにちは!
ジョーです!!

 近年、自衛隊の国際交流が非常に活発になり、海外から遠路はるばる戦闘機が来るようになりました。そこで今回は、フランス国防省が来日を発表したフランス製の戦闘機、ラファールについて簡単にご紹介します。

※アイキャッチ画像はアメリカ海軍HPより出典

ラファールの概要

 ラファールは、フランスのダッソー・アビアシオン(Dassault Aviation)が開発した戦闘機で、外見上はカナード翼付きデルタ翼と滑らかなフォルムが特徴の第4.5世代戦闘機です。
 機体だけでなく、レーダーやコンピュータ、ミサイルやエンジンなどの機体を構成する全ての要素が自国製となっているオール・フランス製の戦闘機で、独自の戦略から核兵器の搭載もできます。
 輸出も積極的に行っており、現在フランス以外にインドなど5カ国で採用されています。

外見から見たラファールの特徴

 このラファールは、現在ヨーロッパで開発された戦闘機たちと同じくデルタ翼(上から見ると三角形の主翼)にカナード翼を組み合わせた翼の配置をしています。イギリスなどと共同開発されたユーロファイタータイフーンやスウェーデンのグリペンといった同じような形をした戦闘機たちと比べると、より滑らかな曲線で構成されたフォルムをしています。

ラファール・グリペン・ユーロファイタータイフーンの比較
最新のヨーロッパ製戦闘機の比較 Photos by USAF

ラファールのバリエーション

 ラファールは、プロトタイプを入れて基本的には4種類に分かれています。

ラファールA

 ラファールAはプロトタイプとして作られ、量産型より少しサイズが大きいですがほとんどフォルムは同じです。また、搭載予定のエンジンがまだ未完成だったのでF/A-18と同じF404というエンジンを搭載しています。

ラファールAデモンストレーター機
技術実証用プロトタイプのラファールA

ラファールB

 ラファールBは空軍向けの複座型(2人乗り)です。操縦訓練用の他にも偵察や攻撃任務を行う場合、過去の経験から2人の方が確実で効率よく任務を遂行できると判断したため任務型もあります。
 フランス空軍は、主にラファールBを運用しています。

航空自衛隊新田原基地へ展開した複座型のラファールB。

ラファールC

 ラファールCは空軍向けの単座型(1人乗り)です。ミッションシステムは前述のラファールBと同じです。

離陸するフランス航空宇宙軍のラファールC。 Photo by USAF

ラファールM

 ラファールMは海軍向けの単座型(1人乗り)で、空母へ離発着ができるようにフックなどがついているところが空軍型とは異なります。アメリカ軍機以外で唯一、アメリカの空母へ発着艦ができる戦闘機です。
 アメリカ海軍が運用する艦載機とは異なり、機体がコンパクトなので翼の折り畳み機能がありません。

ラファールM
発艦準備を行うラファールM。 フランス海軍HPより出典

ラファール誕生までの道のり

 1970年代中頃からフランスの空軍と海軍が当時運用していたミラージュ2000(空軍)やF-8クルセイダー(海軍)などの戦闘機を補完する後継機の導入を検討していました。
 同じタイミングで、イギリス・イタリア・西ドイツ・スペインが同様に運用している戦闘機の後継機について検討し各国の要求している性能などが似ていたため、「欧州戦闘機(ECA)」というプロジェクトが立ち上がりました。このプロジェクトは将来誕生するユーロファイター・タイフーン戦闘機の開発プロジェクトです。
 しかしフランスは、他のプロジェクト参加国と異なり以下の要求があったので最終的にはプロジェクトを離脱することになります。

 ・空母でも運用ができる小型軽量の機体
 ・自国製戦闘機用エンジンの搭載

 特にエンジンに関しては、イギリスをはじめとした国からは要求値より推力不足と指摘され、プロジェクトへの参加を継続すると不採用がほぼ決定的でした。しかも、このエンジンを開発したスネクマ社は経営が傾いていたので不採用になると経営破綻の可能性が高かったと言われています。

 そんないわゆる「大人の事情」が複雑に絡み合ったことから結局自国開発へ方針転換することとなりました。開発時のコスト増に関しては輸出を積極的に行うことで生産数を増やし、コストを回収しようとしました。

 このように計画段階で様々な困難を乗り越え、1986年にプロトタイプになる「ラファールA」が初飛行しました。
 機体の試験中も多くの困難がありましたがなんとか2000年にフランス海軍、2002年にフランス空軍へ引き渡しが始まり、現在はフランスの主力戦闘機として活躍中です。

発進準備中のラファール戦闘機。 フランス空軍HPより出典

スペック

 ラファールの基本スペックは次の通りです。

全 長10.9m
全 幅15.3m
全 高5.3m
最大速度1.8M
航続距離約3700km(2,000NM)
エンジンSnecma M88ターボファンエンジン(75kN)×2
搭載兵器MICA EM/IR空対空ミサイル、SCALP空中発射巡航ミサイル、
AASM誘導爆弾シリーズ、ASMP-A空中発射型核ミサイルなど
フランス空軍HPから引用

 多くの戦闘機と同じく、空対空ミサイルや対地攻撃用の誘導爆弾が取り扱えるほかに、空中発射型核ミサイルが一部のラファールで発射が可能となっています。これは、フランス独自の防衛戦略の一環で、自国製核兵器を保有することで他国への影響力を維持しています。

ASMP-A 空中発射型核ミサイルを搭載しているラファール。 フランス空軍HPより出典

ラファールの規格

 ラファールには生産されたタイミングなどでF1からF4までの規格があり、F4規格の機体がは2023年1月にフランス空軍へ引き渡されたばかりです。
 現在の主力はF3-Rと呼ばれる規格が主力となります。

ラファール戦闘機の規格一覧
ラファールの規格一覧。 フランス空軍HPより出典

F1

 空対空戦闘のみ可能な初期タイプ。

F2

 誘導爆弾や対地ミサイルが搭載できる等になったタイプ。ただし、ターゲティングポッドは使えないので、誘導爆弾を使うときはターゲティングの支援が必要になる場合がある。

F3

 ターゲティングポッドや対艦ミサイルなどが搭載できるようになったタイプで、ラファールの完成形。現在はレーダーの換装やミーティア空対空ミサイルの運用能力などが付与されたF3-Rが主力。

F4

 通信機器やレーダー、ヘルメットマウントディスプレイなどの電子機器を中心にアップグレードされるタイプ。

パリ航空宇宙ショーで展示されるラファールF4
パリ航空宇宙ショーで展示されるF4規格のラファール戦闘機。 フランス空軍HPより出典

輸出に積極的なラファール

 ダッソー・アビアシオン社はラファールの輸出に積極的で数か国へ輸出されています。契約された国と機数は下記のとおり発表されています。

・エジプト 55機
・インド  36機
・カタール 36機
・ギリシャ 24機
(うち12機フランス軍の中古)
・クロアチア 12機(全機フランス軍の中古)
・アラブ首長国連邦 80機
・インドネシア 42機

カタール空軍のラファールB(手前)とラファールC(奥)。 Photo by USAF

おわりに

 今回はフランス製の戦闘機、ラファールについて簡単に解説しました。日本で見る軍用機は、アメリカ製が定番でヨーロッパ製の軍用機は独自の要求もそうですが、国土が比較的狭いところも多いのでコンパクトな戦闘機が多いような気が個人的にします。
 そのせいか、見た目が独特で綺麗なフォルムをしているヨーロッパ機には、独特な魅力があるように感じられます。

 実際に航空自衛隊新田原基地へ展開したラファールを見ることができました!その印象は「美人」という一言に尽きます。滑らかな曲線で構成されたフォルムやエンジンの独特の高い音を聞いていると惚れ惚れしました。

 一緒に飛んでいたF-15やF-2といった航空自衛隊の戦闘機と比較すると近年稀にみる曲線美豊かな飛行機です。
 
 もし、ここまで読んでいただいてもっと詳しく知りたい方はこんな本もあるので、ぜひ読んでみてください!

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