【航空機紹介】ミステリアスな無人機 グローバルホーク

グローバルホーク 飛行機紹介

こんにちは!
ジョーです!!

 今回は、航空自衛隊にも導入された無人機グローバルホークについて解説します。
 この機体の意外と見た目に分かりやすい特徴について、できるだけかみ砕いてお伝えします!
 また、無人機特有の強みと弱点についても少し触れていますので、ぜひ最後までご覧ください。

グローバルホークの概要

 グローバルホークは、ライアンエアロノーティカル(現ノースロップ・グラマン)という会社が開発した高高度偵察用無人機です。1998年に初飛行、2004年から量産型が引き渡され現在も運用されています。しかし、調達や運用に関わるコストが高騰したことでアメリカ空軍は調達数を削減し、有人のU-2とハイブリッドで運用しています。

 そんなグローバルホークですが、無人機ならではの「長時間滞空」が34時間以上もできるとメーカーが公表しており、有人機にはできない長時間連続の監視ができます。

外見から見たグローバルホークの特徴

 グローバルホークは無人機ということで、飛行機には当たり前のようにあるコクピットがありません。その部分には代わりに衛星通信用の大きなアンテナが入っており、機体の前方は大きく膨らんでいます。これを正面から見ると、なんだかエイリアンみたいに奇妙な感じに見えますね(笑)

前から見たRQ-4
前方から見たグローバルホーク。機体上部の膨らんでいるところに衛星通信用のアンテナが収められている。

 胴体の真ん中の方へ向かうとすごく細長い主翼があります。まるでグライダーのように長いですが、これによって揚力をたくさん発生させ、滞空(長く飛び続ける)能力を高めています。

グローバルホークの長い主翼
地上展示されたグローバルホーク。横に伸びる白い部分が主翼。

 胴体の下面には、カメラやレーダーなどのセンサーが配置されています。
 機体の下面に集中させた理由は、基本的に高高度を飛行しているため、主なターゲットとなる建物や船、車両などはみんな自分より下にいます。機体の他のところにセンサーを搭載してしまうと干渉してしまうため最もクリアになる機体下面に搭載しています。

真横から見たグローバルホーク
機体の下面にある膨らんだ部分に集中して配置されたセンサー類。

グローバルホークのバリエーション

 グローバルホークは、主にブロックという名前で区分けされています。基本的にはレーダーとEO(可視光)/IR(赤外線)センサーを備えている他に、各ブロックで異なるセンサーや機能があります。

ブロック30

 ブロック30は、前述したセンサーに加えてSIGINT(信号情報)センサーを追加し、レーダーなど情報と組み合わせて情報収集を行う仕様です。
 SIGINTというのは、ELINT(電子情報)やCOMINT(通信情報)などの総称で、対象となるレーダーや無線通信の電波情報を収集する偵察活動の一種です。
 
 このブロック30は、この後に説明するブロック40とは異なり、情報収集(偵察活動)により特化した仕様になっています。

ブロック40

 ブロック40は、SAR『合成開口レーダー(連続的にレーダー画像を撮り、1つの画像にするレーダー)』を使った画像情報に加えて、レーダーにMTI(移動目標インジケーター)の機能を追加することで、車両などの移動目標を捕捉する機能を持つタイプです。
 
 そのため、画像情報を取得する偵察活動のほかに、相手の地上部隊を攻撃するためのターゲティング支援などもできます。

ブロック30と40の見分け方

 ここで説明したブロック30と40の見極め方は、コツをつかめば意外と簡単なので紹介します。見るべきところは「胴体下面」の1か所のみ!

写真:アメリカ空軍

スペック

 グローバルホークの基本スペックは次の通りです。

全長14.5m
全幅39.8m
全高4.7m
エンジンロールスロイス-ノースアメリカン
F137-RR-100 ターボファンエンジン×1(34kN)
航続距離12,300NM(227,796km)
最大速度310kt(約574km/h)
航続時間34時間以上
実用上昇限度60,000ft(約18.2km)
アメリカ空軍HPより出典

無人機の弱点

 さて、最近ドローンの台頭があり、無人機利用のメリットは注目されていますが、無人機導入に対するデメリットや弱点に関してはあまり触れられていないのでここに注目して紹介します。(内容は個人的な主観もありますので予めご了承ください。)
 
 無人機を取り扱う弱点について、有人の飛行機と比較した場合以下のように私は考えています。

 ・通信妨害などでコントロールを失う可能性がある。
 ・悪天候下での飛行に弱い。
 ・トラフィックに弱い。

 この3つについて、もう少し詳しく紹介します。

通信妨害などでコントロールを失う可能性がある

 グローバルホークをはじめとした無人機は全て、コントロールなどあらゆることに関して機体と地上のステーションやコントローラーと何らかの通信を行いながら操縦しています。
 あらゆることを通信に依存しているということは、その通信さえ遮断できれば高価なミサイルを使わなくても機能不全にすることができるということです。当然、対妨害対策をしていますがお互い普段から電子偵察を行っているので、コントロール用周波数などは割り出されたりしているのでしょうから、常にこの危機に晒されていると思います。

悪天候下での飛行に弱い

 無人機の多くはエンジンが1つ(単発)で、翼が非常に長いことが特徴です。
 エンジンの出力を比較するとグローバルホークのF137エンジンが34kNで、最もメジャーな航空機エンジンの一つCFM56というエンジンは1発で121kNと出力が約3.6倍もあります。

旅客機にも多く使われるCFM56エンジンを搭載したB737-800。

 なぜ、エンジンの出力が悪天候下での飛行と関係するかというと、飛行機の防除氷系統(機体が凍り付くのを防いだり、付着した氷を取り除くシステム)はエンジンに付属する発電機や抽気(エンジンの圧縮空気などを抽出したもの)を利用して、機体の必要な部分を温めます。
 当然、エンジン出力に差があるということは防除氷系統に使う出力にも差が出ます。以前行った取材で聞いた話では、有人機ならできる悪天候下での飛行も無人機ならできないということはよくあるそうです。

トラフィックに弱い

 民間機と軍用機に関係なく、フライトするときは当然自分の周りにもたくさんの飛行機に囲まれながら飛ぶ場面が多くあります。
 衝突を回避するため有人機は普段、管制官と協力しながらレーダーや目視、TCASと呼ばれる衝突防止装置を駆使して飛んでいます。そして、安全確保にあたって最終的な判断を下し強い権限を持つ人はパイロットです。また、パイロットには法律で「見張りの義務」があり、安全確保を行うため常時周りの航空機がいないか見張りを行うことが義務付けられています。
 無人機は、パイロットが乗っていないので目視による見張りにカメラが必要不可欠となりますが、カメラの画角やスペックに依存することと、その映像を画面を通してみるので遠近感が肉眼とは異なる見え方になる可能性があります。
 そのほかにも改良すべき要因はありますが、平時での運航では衝突防止用のセンサーを改良する必要があると思います。実際に現在日本では無人機が運航される空域は事前に示されており、パイロットや管制官へ注意喚起されています。

おわりに

 最近、航空自衛隊にも導入された「グローバルホーク」について解説しましたがいかがでしたか?
 無人機という未知の存在について少しでも理解していただいたら嬉しいです。前述しましたが、有人機とは異なる弱点もあり実は天候に対して有人機以上にシビアなところがあります。
 ですが、皆さんもご存知の通りパイロットなどの搭乗員に対する命のリスクがより低くなることと、有人機にはできない長時間運航ができるという長所もあります。
 まだまだ、発展の余地がある無人機の世界、今後さらに進化をしていくと思いますので注目していきましょう。
 
 ただ、最近写真を撮ることが趣味になっている私にとってはパイロットがいないのは・・やっぱりコクピットから手を振ってくれたりするところとかワクワクするのでちょっと・・・。

 ちなみに「無人機についてもっと知りたい!」という方は下記リンクの本をご覧ください!

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