【航空機紹介】ベースは傑作ビジネス機 TC-90

飛行機紹介

 こんにちは!ジョーです!!

 「航空機紹介」第2弾!海上自衛隊徳島航空基地で活躍するTC-90について紹介します。

 非常に地味な存在ですが「世界中で売れている傑作ビジネス機がベース」など、実は豆知識豊富なレア機体です。是非読み進めてください!

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TC-90の概要

 TC-90はホーカー・ビーチクラフト社が生産する「キングエアC90」という飛行機を改造した練習機です。

 ベースとなったキングエアC90は1964年に生産開始されてから世界各国へ輸出されたビジネス機で、太めの胴体とシンプルな構造で6000機以上生産されている大ベストセラー機です。

 太めの胴体が生む拡張性の高さから、官民問わず日本をはじめ様々な国で採用されており、バリエーション豊かなタイプができました。その中の一つに今回ご紹介する「TC-90」があり、こちらは海上自衛隊の第202教育航空隊に1974年から集中配備され、計器飛行訓練や国土交通省の実技試験など未来のパイロット育成に活躍しています。

 ※航空大学校も以前はキングエアC90で訓練していました。

徳島教育航空群HPより出典

TC-90のスペック

 海上自衛隊が公表するTC-90のスペックは次の通りです。

乗 員5名
全 長10.8m
全 幅15.3m
全 高4.3m
最大巡航速度約247㏏(457km/h)
離陸重量1,805kg
搭載エンジンプラット&ホイットニーPT6A-20A/21
ターボプロップエンジン
580馬力×2
海上自衛隊HP及びWikipediaより出典

TC-90の豆知識

 TC-90は機内外の様々なところにユニークな特徴がある、マニア心をくすぐる飛行機です。存在は地味かもしれませんが、知れば知るほど面白みがあるのでその豆知識を紹介します。

機体の外側にある豆知識

 TC-90は自衛隊の保有する航空機では珍しく、ビーチクラフトC90を輸入しジャムコという航空機の内装品生産などを行う業者の整備部門で自衛隊仕様に改造し引き渡しという調達の流れになっています。そのため、新品のTC-90はそのジャムコの整備工場のある仙台空港へ一度空輸されます。

 そのため、空輸された時だけアメリカの登録番号である「N○○~」という番号が塗装されています。

 また、ビーチクラフト社の製造番号が水平尾翼の下に「LJー○○○○」と記載されており、自衛隊の航空機では珍しくシリアルナンバーが2つあります。

地上展示されるTC-90。垂直尾翼と水平尾翼の下にそれぞれシリアルナンバーが記載されている。

※米海軍のF/A-18などもわかりずらいですが、機体のシリアルナンバーと部隊ナンバーの2つが記載されています。

 また、予算計上されたタイミングでベース機のC90はモデルチェンジしていることもありこれからお話するようなバリエーションがあります。

TC-90のバリエーション

 TC-90はぱっと見みんな同じですが、T-5のように少しずつ異なります。これは防衛省から発注された時期によって生産しているビーチクラフト社の生産ラインが既により新しいモデルに変わっているためで、私が在籍していた当時は以下の4種が存在しており、その内訳は次のようになっています。

  • 現用機:モデルC90-1(~6827号機)
  • 新造機:モデルC90A(6828~6834号機)
  • GT機:モデルC90GT(6835~6836号機)
  • GTi機:モデルC90GTi(6837号機~)
画像:海上自衛隊 徳島教育航空群HPより出典
画像:海上自衛隊 徳島教育航空群HPより出典

 外見上の特徴をまとめると次のようになっており、より新しい機体になるにつれて装備されている無線などの変更に伴いアンテナの形状が変更されたりプロペラの枚数が変わるなど見た目が少し変わっております。

くにかぜⅡ

 TC-90のバリエーション機に国土地理院から運航を委託された「UC-90くにかぜⅡ」という飛行機がありました。

 この飛行機は地図を作成する際の測量に用いられ、測量用のカメラ窓やGPS、磁器測量装置などがついており運航は第202教育航空隊のパイロットが行っていました。

 機体はTC-90と同じパターンですが赤く塗っていた部分を青色にしており、爽やかな色合いは個人的には非常に気に入っていました。

 1983年から2009年の26年間にわたり活躍していましたが、後継機のくにかぜ3は民間企業が運航を行うこととなり退役が決定。その後はスクラップとなり、今は見ることができない幻の航空機となりました。

海上自衛隊教育航空集団司令部Twitterより出典

機体の内側にある豆知識

 TC-90は機内にもいくつ面白い工夫がちりばめられています!こちらについても少し紹介します!

コックピットの変化

 TC-90は前述した通り、C90キングエアの複数のモデルがいます。より新しいモデルになっていく毎にコックピットの計器や航法システムも最新のものへと進化していきました。

進化の過程は「現用機:アナログ計器→新造機・GT機:EFIS搭載→GTi機:全面グラスコックピット」となっています。

画像:海上自衛隊 徳島教育航空群HPより出典 姿勢儀等一部の計器が電子表示となっている。

知られざる装備品

 TC-90をはじめとするキングエアシリーズの客席部分にあたる窓は船のように丸い窓を採用しています。この窓、実はほかの旅客機と違いあるものがありません!

 それは、遮光用のスクリーンです!

 このブログをご覧いただいている方は飛行機に乗ることが大好きな方も多いかと思いますが、外の景色を見ていると眩しくてスクリーンを下すこともあるかと思います。

 眩しくて辛いときキングエアシリーズでは窓に小さい取っ手のような突起がついており、これを動かすと偏光率が変化しサングラスのように暗くなったりします。これを調整することで明るさを調節します。

 そのほかにも簡易的ですがトイレも備えています!

おわりに

 今回の装備品紹介はTC-90についてお話させていただきました。練習機のため武器の搭載はありませんがいろんなところに細かな工夫や進化の跡が見て取れる個人的には大好きな機体です。

 また、この機体は徳島航空基地にのみ配備されているため、徳島基地以外では海上自衛隊のイベントくらいでしか近くで見る機会がありません。しかし、訓練で厚木や鹿屋基地、そのほかにも近隣の高松・広島・松山空港などでタッチアンドゴーをする姿がたまに見られます。

 最近では広島カープの試合にも試合前のセレモニーでフライトするなど活躍の場が広がっており、その時は世界的にも珍しいキングエアの編隊飛行が見られます。

画像:海上自衛隊 徳島教育航空群HPより出典

 航空祭が復活し始め見られる機会が増えてきました。少々地味な存在かもしれませんが、非常によくできた飛行機なのでぜひご覧ください!

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