【航空学生時代の思い出⑦】 さらなる技を身につけろ! 

航空学生

 アイキャッチ画像は、Masanori.Gotoさんより提供

前回のお話(いよいよ大空へのデビュー!! 航空学生時代の思い出⑥)はこちらから!https://osintcatjoe.com/aviationcadet6/

初めて読む方はこちらから!https://osintcatjoe.com/aviationcadet_gate/

 こんにちは!ジョーです!!航空学生時代の思い出第7弾!前回に引き続き第201教育航空隊(以下201教空)での訓練についてお話します!

今回は学生の間、201教空でしか行わない訓練についてご紹介します!!

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第201教育航空隊で行われる訓練について

 前回お話したときに「アクロバット」と「編隊飛行」をこのカリキュラムで実施するとお伝えしました。

 実は海上自衛隊でアクロバット飛行ができる飛行機というのはT-5のみとなります!!そのため海上自衛隊の持つ航空機ではブルーインパルスが行うようなループとかなどの科目はできないこととなっています。これは航空法で定められている「耐空証明」という分類で示されております。※自衛隊機は一部法律の適用除外あり

 ブルーインパルスほどダイナミックな演目はできませんが、大きい角度での急旋回やループなどT-5ではできますが、P-3CやP-1ではやってはいけないこととされています。(スペック上は60度くらいのバンク角での急旋回はP-3Cなどでもできる。)

 また、編隊飛行に関してはまさしく自衛隊ならではの事情があります。基本的にはP-3Cは単独で任務を完結できることができるのですが、SH-60J/Kなどは戦術上複数機が編隊を組むことも想定されています。そのため、編隊飛行の基礎をこの201教空では教育します。

 それでは次項からアクロバットと編隊飛行にまつわる思い出を紹介します!

胸躍るアクロバット訓練!

 201教空でで学生が訓練するアクロバットの科目は以下のものとなります。

  • シャンデル
  • レージーエイト
  • ループ
  • エルロンロール

 ループやエルロンロールはブルーインパルスの演技などでも行う非常に有名な科目ですね!私はこれをT-5でやると聞いて心の中で「おぉー!!」と唸ったことは今でも記憶に新しいです。

 しかし、「シャンデル」と「レージーエイト」は教育を受けるまではよく分かりませんでした。

 ちなみにアクロバットを行う理由として一言で表すと「操縦技術の向上」となります。もう少し詳しくお伝えするとアクロバット科目はいずれも速度・3舵(エレベーター・エルロン・ラダー)操作の調和が求められ、これらをバランスよく操作しなければきれいにできません。

それぞれの科目を説明すると、

 シャンデル:180度旋回しながら上昇を行う機動です。バンク角を一定にしつつ上昇すると失速域へ水平飛行時よりも早く到達するので(この時の出力は一定)、実は操縦の精度が求められる難しい科目です。

Airplane Flying Handbook FAA-H-8083-3より出典

 レイジーエイト:上昇・旋回・降下を組み合わせながら8の字を描く機動、これはエレベーター・エルロン・ラダーの3舵の調和をとりながらピッチとバンクを連続的に変化させるようにコントロールします。

Airplane Flying Handbook FAA-H-8083-3より出典

 ちなみに思い出深いのはループで、T-5は航空自衛隊のT-7とは異なりパワーが少ないので加速が足りないとループの頂点くらいで遠心力が少なくなり座席から少し体が浮く時があります(驚)!!しっかりハーネスは締めていますが、やはり浮くとびっくりします!

 フライトシミュレーターで遊んでいる方はぜひ類似する航空機でアクロバット飛行をチャレンジしてみてください!

気合と根性、たまに理性の編隊飛行

 編隊飛行は201教空では一番最後に習得する技術となります。なぜ最後にするかというとT-5の特性、繊細な操縦が体得できていないと最悪の場合、空中衝突を招くほどリスクのある訓練だからです。

編隊飛行をするT-5(小月教育航空隊HPより出典)

 まず、編隊飛行(フォーメーション)は上の写真を例に説明すると、手前の一番前方に位置しているものを「長機(リーダー)」、その後方に連なる機体を「列機(ウイングマン)」と呼びます。これを踏まえてお話します。

 今までの飛行訓練もそうですが、必ず訓練が始まる前に「座学→テスト」の順で行います。その時に教官から「編隊飛行の極意は・・長機は頭使って飛ぶ、列機は気合と根性でひたすらついていけ!」と話していたのを今でも覚えています。

 言われたその時正直理解できておらず、「ふーん、そうなんだ・・」くらいの理解度でしたが実際に飛ぶとすぐに痛感しました。

気合と根性の列機

 まず、編隊飛行の時どうやって列機は編隊の位置につき、ついていくかというと・・目視なんですね!!

 改めて上の写真を見ていただきたいのですが、左席(向かって手前側)のパイロットをよく見てください。 ヘルメットの向きが前方の機体へ向いていませんか?

 これは、編隊の正しい位置を前方の機体の見え方で合わせているからです。この方法はT-5に限らず、ブルーインパルスや戦闘機でも変わりません。(ただし、戦闘機などは夜間でも編隊を組むため編隊灯というライトで見やすくしています。)

編隊飛行をするT-5、列機から長機を見ている。(小月教育航空隊HPより出典)

 上の写真がちょうど列機の位置から長機を見ているのですが、例えば、「海上自衛隊」の「海」の字が「水平尾翼の前縁にかかっているか」とか、「主翼とエンジンカバーが重なっているのか」とかといった形で「リファレンスポイント」というポイントがついているポジションによっていくつかあります。列機についているときはこのいくつもある「リファレンスポイント」を繰り返し見ながらずらさないように操縦桿やスロットルを細かく操作します。

頭を使って飛ぶ長機

 先ほども紹介しましたが気合と根性でついていく列機を従えるのは「長機(リーダー)」となります。

 長機は文字通りその編隊のリーダーとなるため、運航に関する判断や通信を行いつつ列機がついていきやすいよう配慮しながら上昇・降下・旋回など行っていきます。

 ちなみに編隊飛行で訓練する際、コールサイン(無線で識別するための名前)が通常とは少し異なるのでエアバンドやLIVEATCで航空無線を聞く方はよく聞いていてみてください!また、同一部隊から複数の編隊飛行が行われるときもあります。

 記憶に新しい東京オリンピックでのブルーインパルスのフライトでは12機のT-4が6機×2編隊で東京上空を飛行しました。この時本番用の編隊を「ブルーインパルスA(アルファー)」、予備編隊を「ブルーインパルスB(ブラボー)」と呼称してました。

 話は戻って「頭を使って飛ぶ」というところですが、単独で飛ぶ時と違って列機が編隊の位置につきやすいように急激な操作ではなく、少々ゆっくりと姿勢を変えるよう操縦します。そうなると訓練エリアから出ないようにするとか、近隣を飛ぶ航空機を回避するなどいつも以上に余裕を持って対処する必要があります。

 また、前述の通り列機は目視でついてきているので太陽が逆光になるとまぶしくてレファレンスポイントが見えなくなり見失いかけないので、太陽の位置なども考慮しながら運航していく必要があるのです。

 いろんな要素がいつも以上に複雑に絡み合うので頭を使うということです。そして、従える列機の数が増えるほどそれはより複雑になります。(T-5は式典などの機会でブルーインパルスよりも多い、最大9機編隊で飛行してました!)

T-5の9機編隊 小月教育航空群Twitterより出典

おわりに

 今回では201教空でしかできない「アクロバット飛行」と「編隊飛行」について紹介しました。

 海上自衛隊の全国にある実戦部隊ではP-3CやP-1、SH-60J/Kで編隊飛行の訓練をしますが、特にアクロバット飛行は201教空が唯一行う部隊です。航空自衛隊では航空祭などで戦闘機がダイナミックな展示を見せますがブルーインパルス以外の部隊ではあくまでいつも訓練で行うドッグファイトの機動の一部を見せているに過ぎません。

 そのため「ホワイトアローズ」や「ブルーインパルス」のようにアクロバットを行うというのは、自衛隊の中でも実は貴重な機会なんですね!

 今回紹介していない「計器飛行」や「航法訓練」に関するお話は次回以降に改めて紹介します。

それでは次回もお楽しみに!!

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