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こんにちは!ジョーです!! 航空学生時代の思い出第8弾!
前回に引き続き第202教育航空隊でのお話となります!本格的に計器飛行の訓練が始まりますが、今までと少し違う観点で苦労しました! タイトルの「頭で飛ばす」とは??
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計器飛行と計器飛行方式について
訓練の話ををさせていただく前に、第202教育航空隊で習得する「計器飛行」と「計器飛行方式」に関して基礎知識を説明します。
計器飛行とは?
計器飛行とは航空法にて次のように定義されています。
計器飛行:航空機の姿勢、高度、位置及び針路の測定を計器にのみ依存して行う飛行をいう。
計器飛行を行う場合、「AIP JAPAN」という刊行物で必要な計器などが規定されていますが、航法のカテゴリーなどで細かく規定がされているので最も基本的なものを説明します。
- 姿勢儀:計器の中にジャイロが入っており、地平線と自機の関係を示す計器です。ピッチ角やバンク角から姿勢を確認します。
- HSI(水平位置指示器):自機の向いている方位とVORなどの無線標識の方位などを示す計器。DME(距離測定装置)が示す距離表示と組み合わせて自機位置を特定します。
- 速度計:自機の速度を示す。車と違って単位はkt(ノット)表示となります。(1kt=1.852km/h)
- 高度計:自機の高度を示す。気圧の変化を利用するため、飛行エリアなどによって高度計の設定を修正する必要がある。(その際の設定値を高度計規制値といいます。)
これら4つの計器を基礎とし、そのほかにも様々な計器などを利用しながら航空機の運航の際、外が見えなくても計器に依存し飛行することを計器飛行と言います。
計器飛行方式について
計器飛行方式とは航空法で次のように規定されています。
航空法第2条第17項:この法律において「計器飛行方式」とは、次に掲げる飛行の方式をいう。
一 第十三項の国土交通大臣が指定する空港等からの離陸及びこれに引き続く上昇飛行又は同項の国土交通大臣が指定する空港等への着陸及びそのための降下飛行を、航空交通管制圏又は航空交通管制区において、国土交通大臣が定める経路又は第九十六条第一項の規定により国土交通大臣が与える指示による経路により、かつ、その他の飛行の方法について同項の規定により国土交通大臣が与える指示に常時従つて行う飛行の方式
二 第十四項の国土交通大臣が指定する空港等からの離陸及びこれに引き続く上昇飛行又は同項の国土交通大臣が指定する空港等への着陸及びそのための降下飛行を、航空交通情報圏(航空交通管制区である部分を除く。)において、国土交通大臣が定める経路により、かつ、第九十六条の二第一項の規定により国土交通大臣が提供する情報を常時聴取して行う飛行の方式
三 第一号に規定する飛行以外の航空交通管制区における飛行を第九十六条第一項の規定により国土交通大臣が経路その他の飛行の方法について与える指示に常時従つて行う飛行の方式
こんなの読んでもわからないよ汗
そうですよね汗
要約すると、「離陸から着陸まで、常に管制官の指示に従って行う飛行」と解釈していただければ問題ありません!
以上を踏まえて訓練の時のお話をさせていただきます。
外はあえて見ない! 計器飛行訓練
前項でお話した計器飛行を訓練するとき、一見驚かれる方法で訓練します。
それは「外が見えない状態で訓練する」です。
具体的にどうするかというと「フード」という器具をつけて視界を制限します。
上記リンクのようなサンバイザーのようなものもあれば窓の日よけのようなものといろいろとありますが、私が訓練していたころは窓にカバーをつけてふさいでました。
ちなみに、周辺の安全確保は当然必要なのでTC-90で自分の座る座席の前のみにつけてました。
基本的には訓練エリアに到達したところでフードを取り付け、計器飛行訓練用の飛行パターンを行い訓練します。これまでは、外を見ながら水平線などの景色を利用し航空機の姿勢を把握していましたが、姿勢を確認するもののスケールが変わると操縦するときの操作量が変わってしまったり、計器の動きに振り回されたり苦労しました。
この時、例えば高度計の動き方を見ながら「今○○フィートで上昇中で、これくらいの上昇率だから○○フィートでレベルオフして、同時に〇〇度のバンクで右旋回しているから××度の方位にするには△△度の方位になったらロールアウトだな。」というのをぶつぶつ考えながら操縦しています。
これを飛行パターン毎にいくつもやるのですが、傍から見るとすごく地味な光景なので実際うまくできているのかわかりずらいです汗
この時、隣の席にいる教官や後席にいる同期が見張りを行うのですが、あまり荒い操縦になるとよく気持ち悪くなることもしばしばありました。
おわりに
今回は第202教育航空隊で行う計器飛行訓練と計器飛行に関する基礎知識について紹介しました。次はいよいよ民間旅客機でも行うIFR(計器飛行方式)での飛行訓練です。
T-5の時のようにダイナミックな飛行をするわけではないのですが、とにかくしゃべる!今まで以上に覚えること・準備することが増えていきながらも頑張った一幕について次回解説します。
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