航空学生時代の思い出⑮ ウイングマークをもぎ取れ!!~実艦的対潜訓練~

航空学生

前回のお話(航空学生時代の思い出⑭ チームで敵をやっつけろ!)はこちらから!

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こんにちは!ジョーです!! 航空学生時代の思い出第15弾! 

 第203教育航空隊編第3弾をお伝えします。チームで訓練を重ねた先に待つ最後の訓練は実際の潜水艦を相手にした「実艦的対潜訓練」です!!

 実戦に最も近い形での訓練は早朝からドキドキしています。ウイングマークまであと一歩!訓練を乗り越えた先に待つものは・・・

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実戦と全く同じ!実艦的対潜訓練!!

 第203教育航空隊のカリキュラムが進むと戦術訓練の総仕上げとして「実艦的対潜訓練」という訓練が行われました。

 これは海上自衛隊の潜水艦隊(潜水艦部隊を統括する組織)へ依頼し、実際の潜水艦を相手に対潜訓練を実施するもので、ソノブイ等は実際に使用して行う訓練を指します。(部活などでの練習試合と同じ。)

 私が訓練を行った際、結成した学生チームだけでは人数の足りない配置もありましたので、教官も加わり人数を配分しつつ3~4チームほどこの訓練用にチームを編成しました。

緊張の作戦ブリーフィング

 P-3Cはフライト前にブリーフィングを受ける機会がいくつかあります。

 その一つが作戦ブリーフィングです。

 これは、フライトの前に

  • 訓練の概要
  • 対戦相手(潜水艦)の確認
  • 訓練エリアの気象・海象→水測(ソノブイの予想探知距離等)
  • 注意事項

を確認します。

 ここで話される詳しい内容は全て秘密事項になるためブリーフィングルームも通常の会議室のようなところとは異なり、秘密事項が漏れないよう厳重に守られた区画で行います。そのため、シュミレーターや普段の訓練フライトと違って教官も含めて、訓練に臨む全員が普段とは異なる緊張感に包まれていました。

 やはりP-3C乗りは潜水艦が最も倒すべき相手で潜水艦乗りもP-3Cに倒されまいと訓練に臨むので、そこから生まれる一種のライバル心が教官からもにじみ出ており、「絶対に倒してやる!」という気合をチーム全体に包み込んでいるところが非常に印象的でした。

シュミレーターとは異なる難しさ

 気合十分のまま天候と機体が問題ないことを確認しいよいよエンジンスタート、いつもとは違う雰囲気に包まれながら離陸していきます。
 訓練エリアに到着すると、早速訓練が始まります。先に訓練を行っていた別チームと交代で訓練エリアへ入りますがこの時に引継ぎを行います。

離陸するP-3C哨戒機。

 その時には現場の天候や探知状況などリアルタイムのデータをもらい、ブリーフィング時のデータから修正を行った後、引継ぎ完了となり交代します。
 今回は訓練ということで、対戦相手となる潜水艦とも安全上の観点から一度通信設定を行い、訓練が開始されます。
 訓練についてはいくつかのフェーズに区分しながら、潜水艦の捜索・追尾・攻撃を一通り訓練した後、P-3C/P-1の各部隊が行っている警戒監視の訓練をしました。

 潜水艦の捜索は主に「ソノブイ」と呼ばれる水中マイクのようなセンサーで潜水艦の発する音を頼りに探します。https://twitter.com/sabatech_pr/status/1466370598423068673?s=20&t=WkV50X-lBU6nhlOqAwQ2GA

 このソノブイをどこにどのような間隔で投下するのかをTACCOが状況に応じてパイロットに指示を出し飛行させます。

 そして複数のソノブイを投下して形成される包囲網(ソノブイパターンとも呼ぶ)に潜水艦がかかるところを静かに待ちます。

 実際にソノブイを発射するときは独特の火薬臭や発射音が機内へ響くのですが、初めて体験したそれは非常に印象的でした。

 訓練中は普段のシュミレーターとは違い、ソノブイを投下した後ちゃんと作動せず投下し直したり、実際の潜水艦はなかなか探知できず我慢の時間が続きました。この時、探知するきっかけが全然つかめず日本の潜水艦の静穏性のすごさを少し体感した瞬間でもありました。

 実際のオペレーションの様子が動画でもありますのでこちらからもその難しさや大変さをご覧ください!

日テレNEWSより出典

千載一遇のチャンスを活かす

 我慢の時間が続いたころセンサーマンから「ソノブイコンタクト!!」と機内マイクで興奮気味の声が響きました。じっと我慢して網にかかるところを待っていたところ、ようやく潜水艦を探知しました。

 機内は一気にボルテージが上昇しクルー一丸となって「獲物は絶対に逃がさない!」という気持ちに包まれました。個人的には意外なのですが、この時はすごくテンションが上がっていることとは裏腹に非常に冷静に自分の持ち場でやるべきことを行っていました。むしろその動きが少しずつ洗練されてどんどん研ぎ澄まされていく感覚に入っていきました。 

 それでも、初めて実際に攻撃のため潜水艦の上空を通過して攻撃成功の判定を確認したときは大興奮でした!!

対潜爆弾を投下するP-3C。 海上自衛隊HPより出典

おわりに

 今回はあまり聞きなれない「実艦的対潜訓練」についてお話しました。

 P-3Cでの訓練形式はいくつか種類がありますが、最も実戦に近く戦闘機などの訓練に例えると「DACT(異機種航空機戦闘訓練)」のようなものを指します。

 実戦部隊でも貴重な訓練として年間で数えるほどしかできませんが、航空部隊や潜水艦部隊双方にとって最も訓練効果が高い訓練となっており、それぞれの新しい戦術やセンサーの実戦テストの場でもあります。

 当然ながら公開されることはありませんが、このような訓練を重ねながら潜水艦部隊と切磋琢磨し、より洗練された搭乗員になっていきます。

 それでは次回は第203教育航空隊編最終回、航空学生のならではの卒業フライトとウイングマーク授与式についてお話します!

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