前回のお話(『厳しい決断・・もし航空学生を罷免or辞めてしまうとき 航空学生時代の思い出 番外編』)はこちらから!
こんにちは!ジョーです!!
前回までは航空学生1年生の話でしたが、今回は2年生に進級し特に印象的に残った訓練の思い出についてお話します。
新しい仲間の編入
2年生になる際、新たな仲間として海上保安庁の学生が編入してきます。
海上保安庁の学生は、舞鶴にある海上保安学校で1年間の基礎教育を受けた後各コースへ別れるのですが、その際に航空過程のうち固定翼機要員の方は業務委託を受ける形で小月基地へ来て航空学生の2年目から徳島基地でのカリキュラムを終えるまで同じ屋根の下一緒に教育を受けます。
ちなみに、ヘリコプター要員は仙台空港にある宮城分校で教育を受けます。https://www.kaiho.mlit.go.jp/school/miyagibranch/index.html
私が航空学生としていた時代は3名ほどでしたが現在は少々増えているらしく北九州空港にある北九州航空研修センターでも訓練を行うようです。https://www.kaiho.mlit.go.jp/school/kitakyu.html
海上保安庁の学生はこれから同期として、徳島航空基地で事業用操縦士のライセンス取得までの間これから紹介する訓練を含めて共に学んでいきます。
飛行機への第一歩、緊急脱出訓練
海上自衛隊で運用するP-1やP-3C、SH-60J/Kは航空自衛隊の戦闘機と違い、上空で不具合が発生したときに射出座席がないので違う方法で脱出を行わなければなりません。
※射出座席:戦闘機などの緊急脱出機能付き座席、レバーを引いて搭載されているロケットモーターで座席ごと脱出しパラシュートの展開まで自動で行う。
そのため、航空機に乗り込んで訓練をする前に脱出訓練を行います。
航空機が緊急事態に陥り、飛行場へ着陸することができず機体から脱出しなければならない場合、大きく3つの方法がとられます。
- ベイルアウト(空中でパラシュート降下)
- ディッチング(不時着水)
- 胴体着陸
特にベイルアウトとディチッングに関しては航空機のコントロールとは別にパラシュート降下や着水後の脱出手順を訓練する必要があり、操縦訓練が始まるとこの訓練に時間が確保できないため航空学生の2年目に行われます。
着水後も落ち着いて・・・ディッチング訓練
ディッチング訓練では不時着水を模擬してコックピットから脱出することを訓練します。
小月航空基地には屋外に訓練施設があるため夏場に訓練を行います。
訓練の第一段階は潜水です!
脱出後、航空機から離れたより安全なところで浮くため多少の潜水を行うことが求められます。正確な距離は覚えていませんが、たしか25m潜水をして合格したらいよいよディッチング訓練へステップアップします。
そして、本番になるディッチング訓練です!
画像にあるオレンジのかご(コックピット区画を模擬)に乗り込みハーネスを取り付けます。
教官の合図でこの籠が勢いよくプールへ飛び込みゆっくりと沈んでいきます。
沈んだら脱出開始!と思いきやここから前転するように半回転し、頭が真っ逆さまになった状態でようやく脱出開始!
ハーネスを外して、潜水開始・・・・!
ここで、第一段階の潜水訓練が活きてきます!ここから潜水をしていきますがこれは航空機から漏れ出た燃料や火の手から避け、安全なところから浮上するため必ず潜水を行ってから浮上します。
ちなみに、読んでいただいている方は「25m潜水なんて楽勝じゃん!」って思う方もいるかと思うのですが、フライトスーツ(つなぎ)を着た状態で泳ぐので結構重たいんですよ・・汗
割とさらっとお話ししましたが、着水の衝撃や沈んでいくところに驚きハーネスを外すことに手間取り、パニックに陥る危険性がある訓練です。
そのため、必ずこの訓練を行うときは潜水資格を持った救命員が立ち合いの下で行われます。
幸い私訓練を受けた際は事故などはありませんでしたが、リスクがある訓練ですのでしっかり自他ともに安全を確保し訓練しました。
終わりに
今回は航空学生の2年生に進級し、新たに海上保安庁が加わった話とディッチング訓練についてお話させていただきました。
進級しこれから徐々に飛行機へ乗り込むための専門的な訓練や勉強が増えていきます。
本当はもう一つお話したいことがあったのですが、この話はまた次回お話しさせていただきます。
それでは、次回もお楽しみに!
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