【航空学生時代の思い出③】 ファンシードリルで心を一つに!

航空学生

前回のお話(激動!特別指導期間! 航空学生時代の思い出②-2)はこちらから!https://osintcatjoe.com/aviationcadet2-2/

こんにちは!ジョーです!

 航空学生時代の思い出を紹介する第3弾、航空学生が一般の方々へのアピールの場「ファンシードリル」について紹介します!

 一糸乱れぬパフォーマンスの秘密とは?!

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ファンシードリルとは?

 普段から行われている軍事教練(ドリル)をフォーメーションを組んで「魅せる」演技にしたものを指します。ちなみに似たようなもので「儀仗」というものがありますがこちらは国賓などを迎える際に儀礼や警護を行うことを指し、もっとフォーマルな場面で行います。

 アメリカをはじめ各国の軍隊では、アクロバットチームのように専門の部隊が編成されるほどです!

 どんなことをするかというと・・・言葉で例えるなら「日体大伝統の集団行動をライフルを持ちながらやる」という感じですかね汗

 日本では、「防衛大学校 儀仗隊」、「航空自衛隊 航空学生」、「海上自衛隊 航空学生」が行っており各地で行われるイベントでご覧いただくことができます。

「捧げ銃」を行うファンシードリル隊 海上自衛隊小月教育航空群HPより出典

伝統の継承

 私が航空学生の時は、当時いた小月航空基地の基地祭(スウェルフェスタ)で先輩期が最後の演技を行います。(例年10月下旬ごろ)

 これが終わると引継ぎのため、11月ごろに先輩期と後輩期が一堂に広場に会しファンシードリルならではのライフルの操法や教練動作についてレクチャーを受けます。

先輩からファンシードリルの教練を受ける様子 海上自衛隊小月教育航空群Twitterより出典

 ただし、いきなりライフルを使うと壊したり不慮の怪我などが起こる可能性があるため、銃剣道用の木銃を練習用として使います。初回のレクチャーでは基本教練とファンシードリル用の教練動作の違いについて個別に手取り足取りレクチャーを受けます。

 また、音楽隊もドリル隊と別に編成され、楽器ごとにドリル隊と同様に個別に先輩からレクチャーを受けます。

まるで青春ドラマのような・・・

 先輩期からのレクチャーを受けるとまずは一つ一つの技について磨きをかけていきます。

 「気を付け」や「行進時の腕振りの角度」、「銃の高さ」や全ての姿勢について寸分の狂いを無くすため確認・修正を繰り返し身体で覚えていきます。

 そして演目の流れがとうとう決まり、寒さにも負けず練習を重ねていたところ事件が起きます。

 ちなみに当時いつ訓練を行っていたかというと大体休みである土曜日の午前中に行われることが多かったです。平日は教務の後に運動部などの活動がありなかなかファンシードリルに充てられる日がありませんでした。

 こちらが原因なのか練習を重ねていくと少しずつ不満の声が出始めたんですね。この時はまだデビュー前でひたすら週末に訓練をしてから外出という流れでしたので、「休みなのに嫌だな・・」などの声が増えてきたタイミングでした。

 その時に主任指導官(クラスの最も偉い教官)から「もうお前たちに練習はさせない!」と一喝し、教官室へ戻りました。

 当然、練習していた我々は茫然と立ち尽くすしかなく、学生長とドリル係がいったん場を納めつつ教官室へ直行しました。

 ひとまず訓練は中断し講堂を1室借りて全員待機、ドリル係が帰ってきたところこんな感じでした。「今後どうしたいのかは自分たちで話し合ってから決めろ!その話を聞いてから決める。」とのことでした。

というわけでその日の訓練は緊急ミーティングとなりました。

 この時、答えはみんなの中で決まっていたんですね。「(伝統をつなげるため)ドリルは続けたい。練習させてほしい・・・。」

 ただし、主任指導官の納得がいく理由というのが見つけられませんでした・・・。

 「いっそやめればいいじゃん!」とか「もっと団結しよう!」とか、「そもそもなんでこんなこと言ったんだ!(怒)」とかもうバラバラです。

 その中で出てきたのが補欠組から出た意見でした。※フォーメーションの編成上、予備の人員の確保も考慮し多少の補欠が出ます。

 「毎度毎度レギュラーみたいに出られている人たちにはわからないだろうけど、こっちはこっちなりにレギュラーに入ることとみんなの練度を上げる支えになるように努めているのに、なぜほかのみんなはそんなふうに言えるの?ましてや始めた当初は防衛大学校なんか蹴散らしてやるなんて言ったのにそんなことでいいのか?」という趣旨の意見がでました。

 つまるところ、初心を忘れてしまってました・・・。

 しばらくしてその意見を中心にドリル係が話をまとめて主任指導官が待つ教官室へ向かったところ、納得し来週以降訓練を再開するとのことでした。

 その時、決め手になる意見を言った同期は教官室に呼ばれたそうです。その時に「よくあの意見が出たな。ただしちょっと言い過ぎた部分があるから気をつけろよ。」と言われたそうです。

 それからも羽陽曲折を経ましたが何とか形になりとうとうデビュー戦を迎えます。

デビューそして・・・

 様々な壁を乗り越え、とうとうファンシードリルのデビューを迎えることとなりました。

 この年のシーズンは以下のスケジュールで披露することとなるとデビュー前に発表されました。

・航空学生入隊式(小月基地)
・鹿屋航空基地祭(エアメモ)
・大村航空基地祭
・岩国
航空基地祭(当時はフレンドシップデーとは別に行われていた)
・徳島航空基地祭
・小月航空基地祭(スウェルフェスタ)

 学業やそのほかの訓練がメインなので多くの基地祭には行けませんでしたが、いずれも演技を始めるときには人だかりができ、拍手に囲まれながら退場するときは達成感で満ち溢れてました。

 しかし、たくさんの一般客に囲まれながら演技をすることはいつもとは違うプレッシャーも味わうこととなり演技を行っているときは薄氷を渡るような気持ちでいつも演技してました。その時に常々感じていたのは、「たくさん追い込まれて乗り越えた訓練があるからこそ、緊張してもいつも通りできた。」ということでした。

 なんか、アスリートみたいですね汗

 それでもミスをしてしまったりすることはみんな大なり小なりありました。そのため各基地での演技を終え小月基地に帰るとすぐに反省会が行われていました。

 でも、やはりそれぞれの基地で航空機のデモフライトが行われ、そちらの方が人気がありどうしてもファンシードリルは玄人好みという感じがしてました汗

 ファンシードリルの演技に関してはYouTubeで検索すると歴代の演技が見られますので是非ご覧ください!

 筆者のおすすめは少々古いですがこちらです。

海上自衛隊 ファンシードリル 2008 航学59期 小月  Naval aviation cadet
2008年10月 小月基地祭での第1回公演の模様です☆2008,oct Drill performance, played Naval Aviation cadet at Ozuki air base (Yamaguchi pref,Jap...

 シンプルな演目ですがドリル(軍事教練)としての本質の精度を高めて見せようとしていることと、コンパクトに演技をしているので個人的には見やすいという印象です。

ファンシードリルの豆知識

 ファンシードリルについての思い出は以上となりますが、海上自衛隊のファンシードリルに関してのちょっとした豆知識をおまけ程度に・・・

海上自衛隊小月教育航空群HPより出典

 ファンシードリルで使用しているライフルですが「M1 ガーランド」という非常に古いライフルを使用しています。

 このライフルですが、自衛隊で使用しているのは知っている限りでは航空学生を含む以下の通りです。

・陸上自衛隊 第302保安警務中隊(特別儀じょう隊、国賓などの対応)
・防衛大学校儀仗隊
・海上自衛隊航空学生

ちなみに航空自衛隊の航空学生は64式小銃で演技をします。

自衛隊の中でも知る人ぞ知る非常にレアな装備ですので注目していただけると嬉しいです! 

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