こんにちは!
ジョーです!
いつも飛行機や自衛隊について、自分の経験談を交えながらできるだけ分かりやすくその世界をご紹介しています。
これを読んでいる方は、ブルーインパルスや「トップガン・マーベリック」の影響もあり、パイロットに憧れている方も多いのではないでしょうか?
今回は、実際に受験し航空学生になるまでの流れや受験時の豆知識などをご紹介します。
これから受験を考えている方、受験をする方など航空学生に興味のある方必見です!!
航空学生とは?
「航空学生」とは、航空・海上自衛隊のパイロット養成課程で、主に高校卒業と同等の学力があると認めれれる方を対象に募集しております。
※ちなみに防衛大学校や一般大卒業後パイロットとなるコースもありますが、今回のお話では割愛させていただきます。
航空学生に合格すると約2年の基礎教育を経て、様々な飛行訓練を行いつつ全国各地の部隊へ配置され活躍します。
また、パイロットという職業の特性上幹部自衛官に任官するため、防衛大学校出身者と並びエリートコースと言われることが多いです。
※入隊後約5年で幹部自衛官となります。実は防衛大出身者とほぼ同じスピードで幹部自衛官になります。
試験の難易度と倍率
1次試験(筆記)は高校で学ぶ基礎的な内容のものが多いのでそんなに難しくありません。
しかし、適性検査などの合格基準が高いです。
倍率については防衛省が下記のとおり公表しています。
応募者数 | 採用者数 | 倍 率 | |
平成29年(2017年)度 | 海自:878(92)名 空自:2,309(227)名 | 海自:81(5)名 空自:68(5)名 | 海自:10.8(18.4) 空自:34.0(45.4) |
平成30年(2018年)度 | 海自:792(96)名 空自:1,955(188)名 | 海自:86(4)名 空自:73(6)名 | 海自:9.2(24.0) 空自:26.8(31.3) |
令和元年(2019年)度 | 海自:811(96)名 空自:1,731(195)名 | 海自:79(5)名 空自:72(4)名 | 海自:10.3(19.2) 空自:24.0(48.8) |
令和2年(2020年)度 | 海自:699(77)名 空自:1,583(182)名 | 海自:73(5)名 空自:73(4)名 | 海自:9.6(15.4) 空自:21.7(45.5) |
令和3年(2021年)度 | 海自:762(95)名 空自:1,287(159)名 | 海自:78(5)名 空自:72(3)名 | 海自:9.8(19.0) 空自:17.9(53.0) |
令和4年(2022年)度 | 海自:651(83)名 空自:1,216(159)名 | 海自:70(6)名 空自:75(2)名 | 海自:9.3(13.8) 空自:16.2(79.0) |
平均(過去5年分) | 海自:765.5(89.8)名 空自:1,680(185)名 | 海自:77.8(5)名 空自:72.1(4)名 | 海自:9.84(17.9) 空自:23.3(46.25) |
過去6年分の倍率などを見ると海自で10倍前後、空自で25倍前後で推移しています。
女性に関しては空自・海自ともに全体の2倍くらいの倍率となっております。
また募集定員が70名程度ですが、海上自衛隊では募集定員より多めに採用しています。
しかし、女性の採用数は空自・海自ともに同じくらいなので、自衛隊側の受け入れ体制も影響している可能性があるかもしれません
試験の流れ
ここからは航空学生試験の流れについて、一部経験談を交えご紹介します。
受験資格
海上自衛隊:18歳以上23歳未満の者(高卒者(見込含)又は高専3年次修了者))
航空自衛隊:18歳以上21歳未満の者(高卒者(見込含)又は高専3年次修了者))
受験資格は防衛省から上記の通り発表されており、航空自衛隊と海上自衛隊では年齢の上限が多少異なりますのでご注意ください。
私は高校3年の時に受験し運よく現役合格できましたが、中には現役の自衛官や大学生もおりますし、何度も受験している方もおりますので想像以上にたくさんの方が受験に来ます。
「受験する!!」と決まったら、こちらから登録または各都道府県の地方協力本部へ連絡し志願票を提出してください。
個人的には地方協力本部へ連絡すると受験生向けのイベントの招待を受けたり受験対策についてアドバイスをもらえたりしたので、連絡することをおススメします!
また、受験票は期日までに提出できれば問題ないので、夏休みなどを利用しつつしっかり検討してみてください。
受験受付期間
インターネットや地方協力本部から書面で受け付けしています。詳しくはこちらのサイトをご覧ください。
受付期間:7月1日(土)~9月5日(木)
※締切日必着となるので、受験希望の方は余裕をもってお手続きください。
試験の概要とスケジュール
採用試験は主に3回に分けられており、以下の通りとなります。
1次試験:筆記試験、適性検査
2次試験:航空身体検査、口述試験、適性検査
3次試験:航空身体検査(海上)、操縦適性検査及び医学適性検査(航空)
2023年度は次のスケジュールで試験が行われます。
1次試験:9月16日 合格発表:10月4日
2次試験:10月12~17日の間の指定された日 合格発表:10月31日(空自)、11月6日(海自)
3次試験:11月9日~12月11日の間の指定された日(空自)、 11月15日~12月11日の間の指定された日(海自) 合格発表:令和7年1月20日
1次試験
1次試験は例年9月の中頃に行われ、2024年度は9月16日(月)とされております。内容は主に筆記試験となり、受験科目は下記のとおりです。
必須科目:国語、数学、英語
選択科目:地理歴史・公民・理科のうちから1科目
各科目約1時間の試験と休憩を挟みながら試験を行います。
この筆記試験の後、適性検査が行われます。
私が受験したときは飛行機の写真と計器のイラストがあり、「飛行機の写真の状況に対して計器はどのように示しているのか?」などを答えていきます。
一般の大学試験に比べて非常に早いタイミングで行われます。
万が一不合格になったとしても、その後の受験スケジュールの修正など比較的行いやすいタイミングではないでしょうか。
個人的な受験対策は、「大学受験の対策+過去問題の実施」で何とか合格できました!
毎年自衛隊の採用試験問題集が販売されるのでぜひご活用ください!!
~試験の豆知識~
1次試験の適性検査は筆記で実施します。対策は飛行機が飛んでいるときにどのような計器の表示をするのかイメージできるようフライトシュミレーターなどで確認してみましょう!
2次試験
1次試験を合格すると(2023年度は10月6日(金)に合格発表)2次試験の案内が地本の担当経由で通知が入ります。試験の内容は下記の2つです。
・口述試験(面接)
・航空身体検査
こちらの試験日程は「10月12日(土)~17日(木)の間の指定された日」とされており、各都道府県から最寄りの航空自衛隊や海上自衛隊の航空基地が主な受験会場となります。
その理由は、航空身体検査を行うための設備が整っているからです。
私が受験したときは航空自衛隊の基地で行われ、当日一緒に受験する方々と一緒に基地内の見学もさせていただけるなど貴重な体験もできました!
口述試験は数名の面接官に対して単身で応対するスタイルの面接です。
事前の面接対策は学校によっては行うところもあるのかもしれませんが、自衛隊ならではの質問もあるので、地本の担当者と相談しつつ面接練習を重ねた方が「雰囲気への慣れ」という点で対応しやすかったです。
面接終了後は航空身体検査が行われ、後日結果発表となります。
航空身体検査は健康診断とは少々異なり、特に視力に関わる身体検査項目が多いことが特徴です。
検査項目や合格基準は定められていますので、気になる人は下記リンクからご覧ください。
2次試験までは航空・海上ともに共通となる内容のため合同で試験をしていましたが、2次試験の合格通知ではどちらの自衛隊が採用を決めたのかも含めて通知されます。
また、1次及び2次試験で受験者全体の7割程度が不合格となっています。
私はもともと航空自衛隊志望で受験しましたが、2次試験の合格時「海上自衛隊でしたら合格です」という形で合格通知がきました。
3次試験
2次試験を合格すると(合格発表:11月2日(木)(空自)、11月8日(水)(海自))前述の通り航空自衛隊または海上自衛隊のどちらかも加えて合格が通知されます。
試験日程は下記のとおりです。
海上自衛隊:令和6年11月15日(金)~12月11日(水)の間の指定された日
航空自衛隊:令和6年11月9日(土)~12月12日(木)の間の指定された日
3次試験は航空・海上自衛隊では下記の通り試験項目が異なります。
海上自衛隊:航空身体検査の一部(脳波検査など)
航空自衛隊:操縦適性検査及び医学適性検査
海上自衛隊の場合は全国に数か所ある「自衛隊病院」で精密検査を行います。(主に脳波検査)
航空自衛隊の場合は防府北基地や静浜基地にて約1週間かけて操縦適性検査が行われます。これは、実際にT-7練習機に乗り込み何度か操縦させ、その時の技量の上達度等を見ながら採点されます。
航空自衛隊の3次試験の場合、その成績次第では2次試験のように海上自衛隊で採用される場合もあります。
海上自衛隊での採用は「航空自衛隊の下位互換」と捉える方がいますが、そのようなことはなく実際の現場へ出るとそれぞれが同じ土俵で戦う協力関係ですので決して悲観することはありません。
~試験の豆知識~
3次試験は海上自衛隊では「航空身体検査」、航空自衛隊では「操縦適性検査及び医学適性検査」と試験項目が異なります。特に航空自衛隊では約1週間の集団生活を行いながら試験を行います。
合格発表後について
3次試験が終了すると翌年の1月中旬から下旬にかけて合格通知が届きます。(2024年度は2025年1月20日(月))
合格通知が届いた後は改めて入隊意思について確認され、入隊意思を確認すると3月の着隊に向けて様々な準備が始まります。
書類の手続きや制服のサイズ調整などなど・・これらは入隊先の各基地へ赴くこともあるのでご注意ください。
この間に各自治体などでは入隊を祝い祝賀会なども催されますので、それらへの出席に関しても依頼されます。案外、合格後は大学受験よりも社交性が問われ大変かもしれません。
着隊後については・・
下のリンクより航空学生の生活や体験談を一通りお話しておりますので是非ご覧ください!(私が学生時代の頃の話なのであくまで参考程度にしてください。)
もし不合格になってしまったら
不合格になっても応募資格があれば来年も再受験ができるので再チャレンジしてください。
ただ、その時に選択肢の選択肢として「ひとまず自衛隊に入隊してみる」という選択があります。
例えば、航空自衛隊で整備員や管制官として勤務しながら航空学生を再受験すると、実際の現場や現役パイロットの話を聞きながら再検討することもできます。
もし、もう少し詳しくお話を聞きたい方がいらっしゃったらコメントやSNSで質問していただければお答えします!
コメント
今年、高三で航空学生を受験しようとしている者です。
そこで質問なのですが、「2024年度版」の問題集が発売されるとしたら、まだまだ先なのでしょうか。。
今から買って勉強しようかと思っているのですが、最新版を待つより今あるものを使った方が得でしょうか…
たりきんさん
コメントいただきありがとうございます。
ブログ管理人のジョーと申します。
ご質問に関して回答します。
結論から申し上げますと「すぐに買って」勉強を始めてください。
問題集は過去5年分の試験問題と解答がありますが、最新版の発売はもう少し先の時期に出るので傾向と対策を考えながら反復するなら早い方がいいかと思います。
また、自衛隊で運営しているサイトに過去問題が公開されていますが、問題の一部が著作権の関係で非公開になっているなど試験対策としては物足りない内容です。
リンク:https://www.mod.go.jp/gsdf/jieikanbosyu/examination/kakomon/index.html
最新版を買うことのメリットは、昨年度の採用試験で出た内容が掲載されている以外のことが無く大きく内容が変わることを考慮されているなら、そもそも今年度も変わる可能性を秘めているので手に入るものを有効活用する方が時間のロスを防げると思います。
令和5年度航空学生の合格率は、まだ発表されていないのですか。よろしくお願いいたします。
コメントいただきありがとうございます。
調べたところ、まだ公表されている情報はございませんでした。
防衛白書に掲載されておりますが、例年発売が8月下旬~9月初旬くらいなので、参考にされるのでしたら現状にてお願いします。