【自衛隊のお仕事】救難現場に舞い降りる天使 PJ/HRS

こんにちは!
じょーです!
いつも飛行機や自衛隊について、自分の経験談を交えながらできるだけ分かりやすくその世界をご紹介しています。
「自衛隊のお仕事紹介」、今回はPJとHRSについて紹介します!
災害や事故現場で捜索救難を行い、要救助者を見つけそして救う最前線の隊員。
心技体を鍛え抜いた選ばれし隊員にしかなれない姿とは??
PJやHRSってなんだ?
多くの方がご存知の通り、船や航空機が事故を起こした時や自然災害が発生した時、捜索救難の任務が自衛隊や海上保安庁、消防などで捜索救難活動が行われます。
自衛隊では主に航空自衛隊と海上自衛隊がこの役目を担っており、ヘリコプターや飛行艇に乗り込んで、要救助者の救助や機内で応急処置などの救護活動をします。
これを行う配置の名前を航空自衛隊では『PJ(Pararescue Jumpers):救難員』、海上自衛隊では『HRS(helicopter rescue swimmer):機上救護員』と呼んでいます。

また、類似する配置としてUS-2救難飛行艇に配置される「RS(Rescue scuba:機上救助員」がいます。
PJとHRSの違い
PJとHRS、それぞれ「人を助ける」配置ですが、名前や組織以外に少しずつ違う部分があるので、それぞれの特徴を自衛隊のHPや専門誌に記載している内容を参考に比べてみました。
・洋上、山岳部などいろんなところへ行く
・UH-60Jからパラシュート降下する時もある
・いろんな特技(職種)の人がPJになることができる(試験などをクリアすることが前提)
・選抜試験がある
・洋上救難がメイン
・護衛艦に乗って勤務する時もある
・「衛生員」の隊員のうち、適性がある人から選抜される
このように見た目は変わらないのですが、いくつか違いがあります。
PJやHRSになる方法
ここからは実際に「PJやHRSになりたい!」と思った時、どうやってなるのか紹介します。
PJになるまでの流れ
航空自衛官がPJになるには、大きく次の4つのステップがあります。
入隊時はどんな職種になってもいい。
これらをクリアすると、救難員の資格が与えられて全国各地にある救難隊に配属されます。
救難員選抜試験について
救難員選抜試験は年1回程度予定され、全国各地で勤務する航空自衛官が体力測定などを受け、合格したわずかな隊員のみ訓練を受けることができます。
資格要件
(1)28歳以下の空曹または空士長
(2)各特技職の中級(5レベル)以上の特技を付与されている
(3)長期勤務の意思が強固で、かつ、勤務成績が優良な者
試験科目等
水泳検定:クロール500mを12分59秒以内、横潜水25メートル以上、水深4mで呼吸停止30秒以上、立泳ぎ5分以上
体力検定:懸垂10回以上、腕立て伏せ40回以上、腹筋45回以上、かがみ跳躍45回以上、300m走64.9秒以内、重量物(65kg)搬送200m以上
航空身体検査等(遠距離視力については0.3(矯正1.0)以上)※29年度から採用基準が緩和されました。


HRSになるまでの流れ
海上自衛官がHRSになるには大きく次の4つのステップがあります。
航空自衛隊のPJと違うところは、衛生職域になった隊員から選抜されることと、最終的には実戦部隊で行われる訓練と検定を経て資格が与えられるところです。
少しややこしいですが、実戦部隊ではHRSの資格を持っている機上救護員とHRSの資格を持っていない機上救護員が混在し、実際にヘリコプターに乗って救助活動ができるのはHRSの資格を持っている機上救護員のみとなります。
PJやHRSの主な勤務先
主な勤務先は、PJなら全国にある救難隊、HRSなら海上自衛隊のヘリコプター(SH-60K)の部隊が勤務先となります。
航空自衛隊の場合
航空自衛隊の救難隊は全国に10ヶ所(千歳、秋田、松島、新潟、百里、小松、浜松、芦屋、新田原、那覇)あり、それらを束ねる司令部が入間基地、教育を担う救難教育隊が小牧基地にあります。
PJになった隊員はこれらの部隊に配属され、救難任務などにあたります。
海上自衛隊の場合
海上自衛隊では現在、US-2救難飛行艇を運用する第71航空隊と第21航空隊隷下の硫黄島航空分遣隊しか救難専任部隊はありません。しかし、各地に所在する哨戒ヘリコプターの部隊がこの役割を担っています。
HRSは各地の部隊(大湊、館山、硫黄島、舞鶴、小松島、大村)と鹿屋航空基地の第212教育航空隊で勤務します。
まとめ
全国各地の自衛隊基地から「救難任務最後の砦」として活躍する航空自衛隊のPJと海上自衛隊のHRSについて説明しました。
どちらも「人を助ける」という点では全く同じで、航空祭などで隊員の方からお話を聞くと、海上保安庁も含めた3つの組織でともに訓練をするところもあるそうです。
最近ではドラマ『PJ〜航空救難団〜』で、その活躍が一気に注目を浴びています。
実は私もサバイバル訓練で、UH-60J(海自Ver)で洋上から救出される訓練を受けており、HRSがすごく頼もしかったことを覚えています。
ちなみに、ダウンウォッシュの影響で飛んでくる水飛沫は、あまりに勢いが強くて痛いくらいです。
あらゆる過酷な状況を耐えながら救助する彼らを目指す、または支えたいと思う方はぜひ自衛隊の門を叩いてはいかがでしょうか。