いつも飛行機や自衛隊について、自分の経験談を交えながらできるだけ分かりやすくその世界をご紹介しています。
今回は航空自衛隊が対処している『領空侵犯』について、「用語の説明」や「実際に受けた場合何をしているのか」、そして「活躍する飛行機たち」をできるだけ分かりやすく紹介します!
※本記事で紹介している商品・サービス等の外部リンクには、アフィリエイト広告が含まれる場合があります。
領空とは?
「領空」(りょうくう)とは、国家の主権が及ぶ空域のことで、通常、その国の領土および領海の上空に位置する空間を指します。
国際法では、領空はその国の主権の一部とみなされ、他国の航空機は許可なく他国の領空に侵入することはできません。
領空の範囲
領空の範囲は国際法で次のように決められています。
①領土の上空: 国家が所有する土地の上に広がる空域。
②領海の上空: 領海(通常は海岸線から12海里(約22.2km)までの海域)の上に広がる空域。
領空侵犯とは?
ここからは『領空侵犯』とそれをされた場合について説明します。
領空侵犯の意味
領空侵犯とは「ある国の領空に対して他国の航空機が無許可で侵入する」ことを指します。
民間機・軍用機関係なく発生する可能性がありますが、今回は軍用機が領空侵犯を行った場合に限定し以降の解説をします。
領空侵犯されることの怖さ
SNSを見ると「領空侵犯とかやべえじゃん!」と発言する方が多くいますが、本質的な説明が抜けている方が多いと感じたので、軍用機が領空侵犯すると何がヤバいのか説明します。
領空侵犯してくる軍用機の種類
日本に来る他国の軍用機のうち、航空自衛隊が対領空侵犯措置を行う軍用機は戦闘機・爆撃機・情報収集機の3種類が大半です(有人機・無人機関係ない)。
防衛省が公表しておりますが、中国とロシアの軍用機が日本周辺で多く飛行しております。
領空侵犯されるリスク
その航空機の実際の目的がどうあれ、何をされるのか分からない(最悪の場合、攻撃されることも想定)状態で勝手に領空侵犯をするということは、侵犯を行った国が挑発ないし攻撃の意図をもって行動していると解釈されます。
なぜなら、その機体の機長たちは上級司令部(最終的には政府の意思)からの指示で動いているからです。
領空侵犯されそうになったらどうする?
日本周辺には領空の外側に防空識別圏(ADIZ)があり、そこで無許可で日本の領空へ向かってきそうな航空機を確認しています。
それに対して不用意に領空侵犯させないよう段階的に対処していきます(航空自衛隊では対領空侵犯措置という任務になる)。
対領空侵犯措置の段階的な対応方法
ここからは対領空侵犯措置の段階的な対応方法について紹介します。
①無線での警告
国籍や飛行目的が不明と判断された航空機が領空へ近づいている場合、まず航空機に対して無線で領空へ近づいていることを通知します。
それで針路変えない場合は無線で警告を発し、さらに進路変更を促します。この時レーダーサイトから通信しつつ戦闘機を緊急発進させます。
②視覚的な警告
無線での警告に応じない場合、通常は戦闘機を発進させ(スクランブル発進)、侵入機を視覚的に警告(ハンドシグナルや警告射撃など)をしたり、領空外に誘導したりすることがあります。
③強制着陸
無線での警告に従わない場合は、当該機に最寄りの自衛隊基地などに強制着陸を指示してその航空機を着陸させます。その後領空侵犯した航空機の乗員を逮捕し目的などを確認します。
乗員を逮捕した後は、外交ルートで乗員の引き渡しなど以降の措置を行います。
④撃墜
無線などでの警告を無視し続け、そして領空へ入る可能性が高く危険だと判断される場合、撃墜する措置が取られることもあります。
これは高度な政治判断も求められるので本当に最終手段です。
自衛隊で対領空侵犯措置をする飛行機たち
このような領空侵犯してきそうな軍用機に対抗する航空自衛隊の飛行機たちを紹介します。
F-15J/DJ 戦闘機
F-15Jは主に防空任務を担う戦闘機です。アメリカのF-15Cを基にして日本向けにアビオニクスを中心に改良されました。F-15DJはその複座(二人乗り)型です。優れた機動性とレーダーシステムを備え、高い空対空戦闘能力を持っています。
F-2A/B 戦闘機
F-2は日米で共同開発した戦闘機で、F-16をベースに対艦攻撃や空対空戦闘に対応する多用途戦闘機です。
見た目はほとんどF-16と同じですが、少し大きくなったことと青い塗装が目印です。
F-35A 戦闘機
F-35Aは、ステルス性能と高い多用途性を持つ第五世代戦闘機です。航空自衛隊には配備されたばかりの最新鋭機で今後全国に配備が進みます。
E-767早期警戒管制機
E-767早期警戒管制機は、旅客機のボーイング767をベースにした航空自衛隊の早期警戒管制機。
機体上部にレーダードームを装備ていることが外見上の特徴。
空中から広範囲の航空機などを探知・追尾し味方の航空機や地上部隊にリアルタイムの情報を提供します。
E-2C/D 早期警戒機
E-2C/D早期警戒機は、大型レーダーを搭載し、空中から敵機やミサイルを探知、追尾、戦術情報の伝達を行います。
アメリカ海軍が空母で運用するために開発したので、主翼を折りたたむことができます。
レーダーサイト
地上に設置されたレーダー装置を用いて、航空機やミサイルなどの探知・追尾を行う施設です。
防空指揮所と連携して空域監視、早期警戒、戦術情報の収集・伝達を行っています。
領空や防空識別圏をカバーするため、日本全国に設置され、常に日本の監視をしています。
おわりに
今回は領空侵犯とリスク、対領空侵犯措置を行う航空自衛隊の代表的な装備を紹介しました。
この分野は、法学者の方などはもう少し詳しく説明するしますので、より詳しいお話を伺いたい方は専門家の方へお任せした方がいいと思います。
こういった防衛関係の法律や政治判断が直接かかわる事態は非常に難しいのでできるだけ簡単にまとめてみました。
改めて質問がある方はぜひ読んだ後にコメントをください!
コメントを残す コメントをキャンセル