【自衛隊のお仕事紹介】空飛ぶ軍師 TACCO

お仕事紹介

 こんにちは!ジョーです!

 今回は「自衛隊のお仕事紹介」、TACCO(戦術航空士)について紹介します!

 パイロットと同じく機長になりますが操縦はせず戦術指揮に特化した配置で、P-3CやP-1で行う様々な任務の成否はTACCOにかかっているといっても過言ではありません。

 それほど重要なポジションですが、案外謎に包まれている存在。
そんなTACCOについてご紹介します!

 ※アイキャッチ画像は海上自衛隊第4航空群Twitterより出典

TACCOって何者?

 TACCOは「戦術航空士(Tactical Coordinator)」と呼ばれ、「タコー」や「タコ」と発音します。

 主にP-3CやP-1をはじめとした固定翼哨戒機に乗りこんで、警戒監視や潜水艦の捜索などの際、その時の環境などの状況を踏まえて戦術プランの組み立てやミサイルや魚雷などの火器管制、通信の管理を行います。また、パイロットと同様に幹部自衛官のみなれる配置です。※米海軍のP-8などにもTACCOがいます。

 P-3Cなどでは
 離陸から着陸まで運航全般の指揮など→PILOT
 作戦に関する指揮→TACCO

 といった感じで役割分担されています。

具体的に何しているの?

 前項で「作戦に関する指揮」とか「戦術プランの組み立て」という話をしましたが、もう少し踏み込んでお話します。
 TACCOは警戒監視などの際、センサーマンやORD(機上武器員)などに指示を出しながら探知されたデータを集約します。その集約されたデータをもとに識別へ向かうターゲットの選別と効率よくターゲットへ向かうコースを決めて指示します。

TACCOが戦術指揮をする様子 第2航空群Twitterより出典

 この時、TACCOはPILOTと異なり探知状況が表示されたモニターで判断しています。なので、天候状況などによってはPILOTからコースの変更について要求されますので、お互いの希望をすり合わせながらより効率よく運航します。
 チームのレベルが高いところは阿吽の呼吸でこれを行うのですが、やはりその中心になるのはTACCOですのでチームの大黒柱といっても過言ではありません。

TACCO(戦術航空士)は何をするのか?
・P-3CやP-8などの哨戒機で作戦プランの組み立てや指揮を行う
→スポーツチームの監督のような感じ

どんな飛行機に乗るの?

 主に固定翼哨戒機と言いましたが、海上自衛隊では他にもあります。
実際に配置される機種は以下のとおりです。

P-3C・P-1

 TACCOが最も多く乗る飛行機がこの2機種です。警戒監視や対潜戦、たまに捜索救難と様々な任務を行います。

離陸滑走中のP-3C哨戒機。
下総航空基地の格納庫で展示されるP-1哨戒機。

P-3Cについて詳しく知りたい方はこちら

EP-3・OP-3C

 EP-3やOP-3CはTACCOとは言わず、SE(シーバル(Signal EvaLuator:信号評価員))と呼びます。TACCOと同じようなことをしているそうですが、謎に包まれている航空機なので自衛官でも知っている人は多くありません。
 詳しく知りたい方はこれらが配備されている第81航空隊勤務を目指しましょう!

EP-3多用機(電子情報収集機) 海上自衛隊HPより出典
OP-3C多用機(画像情報収集機) 海上自衛隊HPより出典

EP-3・OP-3Cについて気になる方はこちら

US-2

 US-2もTACCOとは呼ばず、SARC(サーク(Search and Rescue Coordinator:救難航空士))と呼びます。海面状況などを確認しながら捜索プランを計画や現場でのプラン修正、海上へ向かう救難員への救助指示や司令部への長距離通信などを行います。

航空祭で展示されるUS-2救難飛行艇。

US-2について気になる方はこちら

TACCO(戦術航空士)になると乗れる飛行機
P-3C哨戒機(派生型のEP-3・OP-3C・UP-3C/D含む)
・P-1哨戒機
US-2救難飛行艇

どうやってTACCOになるの?

 TACCO(戦術航空士)になるには海上自衛隊の航空要員であることが前提となります。航空自衛隊や陸上自衛隊では同様の配置はありません。

そのためルートは大まかに2通りしかありません。
 1:航空学生で海上自衛隊に入隊する。
 2:防衛大or一般大から海自幹部候補生学校卒業後、航空要員に選ばれる。

教育の流れ

 TACCOになるための教育の流れは次の通りです。

 ・小月教育航空隊で座学(航空学生で約2年、幹部学生で約3ヶ月)
 ・201教育航空隊で操縦と航空機の運航の基礎を学ぶ(約6か月)
 ・203教育航空隊で航空士としての知識とスキルを習得(約1年6か月)→ここでウイングマーク取得
 ・部隊実習でNAV/COM(航法通信員)として勤務。

 ※航法通信員はパイロットが使用する無線以外の様々な通信を一手に担うほかに、航法業務やTACCOの補佐として戦術のサポートを行う。
 
 部隊勤務中に養成訓練(機長昇格も兼ねている)を行い、資格試験終了後に資格が付与されます。

 ちなみに、操縦が得意じゃない人がTACCOになるかと言えばそんなことはありません。私が第201教育航空隊で学生としていたときは、クラスでも1、2番を争うくらい操縦がうまい同期がTACCOを希望し、現在も第一線で活躍しています。

航空学生について気になる方はこちら

TACCO(戦術航空士)にどうやってなるのか?
・海上自衛隊の航空学生または幹部候補生(防衛大学校卒業者も含める)の航空要員になる
・カリキュラムの途中でパイロットかTACCOに分けられるのでその時に採用される(本人の希望だけでなく、適性や成績などから総合的に判断される)。

終わりに

 今回はお仕事紹介ということで、海上自衛隊では花形配置でありながらあまりその凄さを知られていないTACCOについて解説しました。
 
 パイロットは自衛隊や官公庁、民間航空会社で活躍する道はありますが、TACCOは海上自衛隊にしかない非常に狭き門です。
 自衛官時代はよく「P-3は護衛艦1隻と同等の戦力と権限があって、作戦の判断はTACCOにゆだねられている。」なんて言われていたことを覚えています。
 
 実はすごいTACCOという職業について興味が湧いた方は航空学生の受験を検討してみてはいかがでしょうか?

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