【航空学生時代の思い出⑤】 レ、レンジャー!!

航空学生

前回のお話(航空学生時代の思い出④ 新たな仲間と新たな訓練)はこちらから!https://osintcatjoe.com/aviationcadet4/

こんにちわ!!ジョーです!!

 前回からの続きで航空学生2年目に受けた印象的な訓練についてお話します。

 実は海上・航空自衛隊の航空学生では脱出時のパラシュート降下について陸上自衛隊の精鋭中の精鋭「第1空挺団」にその技を習います!その様を少しご覧いただければと思います!

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陸上自衛隊へ臨時入隊!!

 前回のお話でもお伝えしてますが、緊急脱出では「ベイルアウト」、「ディッチング」、「胴体着陸」の3つの方法がとられるとお話させていただきました。

 その一つ、ベイルアウトの際切っても切れないのがパラシュート降下です!!

 ただ、海上自衛隊では泳いだり潜ったりする技術を磨くところはあるのですが、パラシュート降下に関して教育を行う部隊や機関はありません。そのため、これに関しては外部委託という形で教育を受けます。

 自衛隊でパラシュート降下といえば・・・そう!自衛隊の中でも精鋭中の精鋭、第一空挺団です!!

 ここで、約2週間にわたりパラシュート降下の技術を磨き、基本的な降下技術を習得します。

ヘリコプターからパラシュート降下を行う第1空挺団の隊員。 第1空挺団Twitterより出典

パラシュート降下までの道

 いつも訓練を受けている小月航空基地から千葉県にある習志野駐屯地へ行くのですが、この時第一空挺団の方も一気に60~70人の学生を受け入れられないので、半分に分けて教育を受けます。

 休日は外泊もできる見込みとのことで、同期みんなで「休日どうする?!」と盛り上がり色めきだってました!

 とはいえ厳しい訓練を待ち受けているのは必至でしたので、いざ習志野駐屯地が近づくにつれて一気に現実に戻っていきます汗

 到着すると、陸上自衛隊の戦闘服やヘルメット、陸戦靴などが手渡され整備するよう指示されます。

 1日目は支給された戦闘服や靴の整備、居室の整頓と生活面の簡単なオリエンテーションを受けて終了、翌日からいよいよ訓練に向けて始動です!

まずは安全な着地から!

 パラシュート降下で最も大事なことはパラシュートのコントロールではなく着地です!

 着地するところが必ず柔らかいマットならそんなに気にしなくてもいいのですが、地面は当然硬いところもあるためおろそかにすると骨折などの大けがへ発展する可能性があります。

 そのため、着地に関しては懇切丁寧ではありますが合格を出すまでは非常に厳しい基準で教育します。

 この時「5点接地」と言われる接地法で着地を行います。着地したときに足だけで衝撃を受け止めると体が耐えきれず、膝が割れたりするそうです・・以下のリンクで分かりやすく説明されているのでご覧ください。

※危ないので絶対にマネはしないでください!!

https://www.youtube.com/watch?v=V9kjGdi-fPw 

 5点接地の訓練は以下のステップで徐々に高さをつけながら行いました。

  • STEP1:転がる→5点接地の着地したところから転がって起き上がるところまでひたすら行う
  • STEP2:跳ねて転がる→その場で跳ねて、着地から転がりあがるところまでをひたすら行う
  • STEP3:少し高いところから着地する→体育館のステージくらいの高さから飛び降りて5点接地を行う
  • STEP4:さらに高いところからハーネスをつけて着地する→3mくらいの高さから訓練装置を用いて5点接地を行う

 STEP1~3まで行いますとSTEP4へ行くためテストが行われ、テストに通過しない場合は補習が行われます。その後再試験を行いSTEP4へ進みます。

 STEP4のテストとそのほかの実技テストを終えるといよいよ本番の降下塔からの落下傘降下へ進みます。

小月教育航空隊HPより出典

5点接地だけじゃない!

 先ほどは安全に設置する方法についてお伝えしましたが落下傘降下って以外にたくさんやることがあります。

  • 降下前→落下傘の装着状況の確認
  • 降下開始→落下傘の開傘、開傘状況の点検(正しく開いていないときは予備の傘を使う)
  • 降下中→着地地点への操縦
  • 降下直前→着地姿勢のセット(降りる場所によって異なる)
  • 着地→5点接地で着地
  • 着地後の閉傘→(やらずに傘を外そうとすると風にあおられる)

 この中から特にご存じの方が多い訓練が「脱出塔」からの降下です!

脱出塔から飛び出そうとする学生。 小月教育航空隊HPより出典

 高さ約10mからハーネスをつけて飛び出すのですが、この高さ人間が一番恐怖を感じる高さだそうです。そのため、かなり勢いよく飛び出さないと恐怖が勝ってしまい飛び出せなくなってしまいます。。

 実際に訓練を行った際、同期でなかなか飛び出せず30分くらい躊躇している者もいました。よくバラエティー番組でバンジージャンプを飛べない芸能人を見ますがあんな感じですね!(笑)

着地した後も油断してはいけない!

 前述までをまとめると一番大事になるのはやはり「接地」なのですが、接地した後パラシュートを切り離すまで油断してはいけません。

 風にあおられたり、パラシュートにたくさんつけられているロープが絡まったりするといくら安全に着地できても非常に危険な状態になります。

 そこで、最後の訓練を行う前にそれらの対処を学びます。

 どうやって訓練するかというと、広いグランドで開いたパラシュートを身に着け、巨大なファンで実際に吹き飛ばします!

風にあおられた状況から安全に立ち上がる訓練を行う様子。 第1空挺団Twitterより出典

 写真のようにあおられたらその勢いを利用して立ち上がり、傘をすぼめて勢いを弱めてから切り離していきます。

最終訓練!降下塔!!

 5点接地を含めて各種訓練のテストで合格となると最終試験の降下塔からの降下が行われます。

約80mの高さに吊り上げられ自由落下で降下します。。。

 吊り上げられてから地上の準備と風の状況の確認が終わるまで宙ぶらりんになるのですが、どこまでも遠くに景色が見える状況は正直生きてる心地がしませんでした。汗

 ともあれ何とか約2週間に及ぶ訓練はあっという間で非常に貴重な経験ができましたね!ここまでを終えると修了式が挙行され、訓練はすべて終了となります。

終わりに

 今回は第一空挺団で受けた落下傘降下訓練についてお話させていただきました。自衛官の中でもなかなか触れることのない貴重な訓練ですので特に印象的な訓練の1つでした

 次回からは小月教育航空隊を卒業し、いよいよ「ホワイトアローズ」で有名な第201教育航空隊での訓練の思い出をお話させていただきます。

 とうとう飛行機に乗り込み始まる訓練、教官の熱い指導や成長過程について私の経験談をお伝えしていきます。

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