飛行機紹介

戦闘機の「世代」とは?

joe
記事内に商品プロモーションを含む場合があります

 こんにちは!
 ジョーです!

 戦闘機の「世代」についてたびたび注目されてますね!
 多くは「第5世代戦闘機はやっぱりすごい!」という意見が大半ですが、同時に最近戦闘機などの軍用機に興味が出た方は「第5世代って何?」とか「戦闘機ってどれだけ世代があるの?」や「何が違うの?」といった疑問が沸いたかと思います。

 そこで今回は、そんな戦闘機の世代についてまとめました!

戦闘機の「世代」とは?

 戦闘機の世代についてもともと決まった定義は存在しませんでした。初めて「〇世代戦闘機」という言葉を使ったのはロッキード・マーティン社とアメリカ海空軍が初めてと言われています。
 これは、現在量産中のF-35やF-22などの戦闘機をマーケティングする際、「第5世代戦闘機(Fifth Generation Fightr)」と呼び、商標登録までしたことで第5世代戦闘機はコレだ!ということが決まってしまいました。
 そうなると、「それまでの世代はどうなっているの?」ということで後付けでそれまでの世代が定義づけされていきました。
 
 この世代の定義づけについて何を基準にされたのかというと、明確な基準というは存在していません。
 しかし、月刊Jウイングで軍事評論家の井上考司氏は「飛行性能」、「探知性能」、「各種武器の性能」、「自衛性能」の4つを軸に分けられると言及しております。
 ちなみにこの世代は第2次世界大戦集結後に生まれた戦闘機に対して区分けされています。

「世代分け」はマーケティングのためのキャッチフレーズとして生まれた!

第1世代戦闘機

 第1世代戦闘機は1950年代前半に誕生し、それまで主流だったレシプロエンジンをジェットエンジンに変えて飛行性能を向上させました。これに伴い、それまでは当たり前だったプロペラがなくなりました。
 ジェットエンジンに変えることで特に高速化が進みましたが、エンジンの開発が現在に比べると未熟だったので比較的ずんぐりとしたフォルムのエンジンが大半でした。そのせいか、当時開発された戦闘機の多くは機首に大型の空気取り入れ口を備えています。
 

第1世代戦闘機の代表格、F-86セイバー。
Photo by USAF
第1世代戦闘機の代表格、F-86セイバー。航空自衛隊でも導入し初代ブルーインパルス使用機としても活躍した。 Photo by USAF

 また、戦後ドイツ人技術者がもたらした後退翼を採用する航空機が誕生し、それまで横一直線に伸びた主翼から後退翼がついた戦闘機が特に活躍しています。
 
 この時の戦闘機はレーダーを搭載しておらず、主な武器は機銃ということで基本的には戦時中と同じように接近戦での戦いがメインでした。

Mig-15戦闘機。
Mig-15戦闘機。朝鮮戦争ではF-86のライバルとして君臨した。 Photo by USAF

第1世代戦闘機まとめ
・ジェットエンジンを採用してプロペラが無くなった。
・機種に大きな空気取り入れ口を設ける戦闘機が多い。
・速度性能を中心に進化した。
・武器はまだミサイルより機銃がメイン。
代表的な戦闘機:F-86、Mig-15など

第2世代戦闘機

 第2世代戦闘機は1950年代後半に誕生し、その特徴は「超音速飛行」ができることと、「レーダーを搭載した」ことの2点が大きく変わったところです。
 特に当時は大型爆撃機の核兵器搭載能力が特に重要視されている時期でもあり、戦闘機を開発する際、爆撃機をより早く迎撃することを要求されることがその背景とされています。

エリアルールとデルタ翼を採用したF-102デルタダガー。
エリアルールとデルタ翼を採用したF-102デルタダガー。核弾頭付きの空対空ミサイルを装備し歴代最強の火力を誇っていた。 Photo by USAF

 最高速度と上昇性能を追求したため、全般的にスマートで鋭い近未来的なフォルムの機体がよく開発されました。
  
 また、より遠くで目標を捕捉するため、レーダーが進化し探知距離が向上と小型化をすることができたので、現在の戦闘機では当たり前となったノーズにレーダーを収納するスタイルが確立されました。

イングリッシュ・エレクトリック ライトニング戦闘機。
イングリッシュ・エレクトリック ライトニング戦闘機。縦に2列配置したエンジンなど独特のフォルムをしている。

第2世代戦闘機まとめ
・超音速飛行ができるようになった。
・機体はスリムで鋭いフォルムが多い。
・戦闘機に搭載できるサイズの小さいレーダーが実用化された。
・戦闘機から発射するミサイルが実用化された。(赤外線誘導がメイン)
代表的な戦闘機:F-102、F-104など

第3世代戦闘機

 これまでの世代の戦闘機は主に速度性能をメインとした飛行性能の進化で分けられていましたが、第3世代では主にセンサーと武器が進化しました。
 レーダーも対空目標のみ対象として追尾していましたが、コンピューターが進化し対地攻撃も可能となりました。
 また、ミサイルも発達しレーダーホーミングミサイルが出現したことで目視外から攻撃できるようになりました。
 そのため第3世代戦闘機は、より多くのミサイルや高性能のレーダーを搭載できるよう機体の大型化やエンジン性能の進化が求められています。

航空自衛隊でも活躍したF-4ファントムⅡ。
航空自衛隊でも活躍したF-4ファントムⅡ。兵器搭載量の多さと飛行性能の高さで多くの国々が採用した。Photo by USAF

第3世代戦闘機まとめ
・火器管制レーダーが進化し、レーダー誘導ミサイルを使えるようになった。
・対空戦闘だけでなく対地攻撃などもできるようになった。
・飛行性能よりも兵器搭載量を重視して機体が大きくなった。
・機体の大型化に伴いエンジンがよりハイパワーになった。
代表的な戦闘機:F-4ファントムⅡ、MiG-21など

第4世代戦闘機

 第3世代戦闘機は多くの兵器搭載量を実現しミサイルの性能に頼りきる傾向となりました。その代わりにそれまでの戦闘機で重視していた軽快な運動性能を犠牲にしてしまいました。
 特にベトナム戦争ではそれが顕著に表れ、特にアメリカの最新戦闘機はドッグファイトで負けてしまうことが度々発生しました。

最強の戦闘機の呼び声も高いF-15イーグル。
最強の戦闘機の呼び声も高いF-15イーグル。1976年に米空軍で運用が開始されてからいまだに現役。

 そのため、第4世代戦闘機はこれまでのセンサー技術の進化もさることながら、運動性や加速性を追求し飛行性能の向上も主眼に置かれて開発しています。
 飛行性能はこの世代でほぼ頭打ちになり、以後開発される戦闘機は第4世代戦闘機に似たフォルムとなっています。
 また、これまでは兵器管制官を乗せて火器管制と操縦を分業させる戦闘機もいましたが、コンピューターが発達し、火器管制がより簡単にすることができるようになりました。
 つまり、1人で対空・対地両方の戦闘を容易に切り替えることができるようになったことも特徴の一つです。

ユーロファイター・タイフーン
ヨーロッパ4カ国で共同開発したユーロファイター・タイフーン。軽量の機体だが多彩なセンサーや兵器が搭載できる。 Photo by USAF

第4.5世代戦闘機

 この戦闘機は、第4世代戦闘機と後述する第5世代戦闘機の間を指す戦闘機の一群を指します。
 それまでの第4世代戦闘機をベースとし、主にコンピューターやセンサーをアップグレードすることで、限定的に第5世代戦闘機と同等の能力を持たせたものです。

F/A-18E/Fスーパーホーネット
F/A-18E/Fスーパーホーネット。部分的にステルス性も配慮されている。

 第5世代戦闘機はステルス性が大きな特徴ですが、価格が高く輸出規制も非常に厳しく、購入には外交上の関係性も重要になるなどハードルが非常に高いです
 第4.5世代戦闘機は、既存機のアップグレードで済む場合もあるので、コストパフォーマンスなどが高い選択肢になります。

Su-30MKI戦闘機。
Su-30MKI戦闘機。ベースとなったSu-27にレーダーやエンジンのアップグレードを行った。 Photo by USAF

第4+4.5世代戦闘機まとめ
・加速性と運動性を重視するため、空力特性を徹底的に研究した。
・機体は全体的になめらかな曲線のフォルムをしているものが多い。
・第4.5世代戦闘機はセンサーなどが改良され、ステルス性以外は第5世代戦闘機相当になった。


代表的な戦闘機:F-15やSu-27など(第4世代)、F/A-18E/F、ラファールなど(第4.5世代)

あわせて読みたい
【飛行機紹介】フランスの万能戦闘機 ラファール
【飛行機紹介】フランスの万能戦闘機 ラファール
あわせて読みたい
【飛行機紹介】F-15のライバル Su-30MKI
【飛行機紹介】F-15のライバル Su-30MKI

第5世代戦闘機

 現在、最強と言われる部類がこの第5世代戦闘機。
 進化したところは「ステルス性」「センサーフュージョン能力」がもたらした「相手に悟られる前に倒す」能力です。

F-22戦闘機
現代最強の戦闘機F-22ラプター。この機体に求められたのは空域を「支配」できる性能。 Photo by USAF

 見た目は第4世代戦闘機までと似ていますが、ステルス性を備えるためにこれまでのなめらかな曲線で構成された外見よりも角ばった外観をしています。
 また、レーダーだけでなく赤外線センサーなどのセンサーやデータリンクをはじめとした通信も拡充され、より多くの情報を得ることができます。
 さらに、取り込んだ多くの情報をコンピューターが自動で取捨選択し、パイロットは操縦に専念できるよう工夫されています。

第5世代戦闘機まとめ
・ステルス性とセンサーフュージョン能力が追加された。
・ステルス性を確保するため角ばったフォルムが多い。
代表的な戦闘機:F-22、F-35、Su-57など

第6世代戦闘機

 まだデビューした戦闘機はありませんが既に開発が始まっています。
 それが、日本・イギリス・イタリアの3カ国で共同開発をしている「GCAP(ジーキャップと発音)グローバル戦闘航空プログラム」です。

 機体のデザインは概念図しかありませんが、ただしその概念図を見ると第5世代戦闘機のようにステルス性を意識したデザインとなっています。
 また、他の戦闘機や早期警戒機だけでなく無人機などともネットワーク上で繋がることで、より広い範囲で様々な作戦が遂行できるようになるとされています。
 ただし、情報量が増えるとパイロットの負荷も大きくなります。
 そこで、レーダーなどで探知した目標をディスプレイに表示するなど、直感的に情報を得られるよう工夫する取り組みがすでに始まっています。
 なので、外見も未来的になりますがより重視されているのは、その機体に備えるセンサーやコンピュータの処理能力などのようです。

第6世代戦闘機まとめ
・第5世代に引き続きステルス性を重視
・無人機などとネットワーク上で繋がることができる予定

おわりに

 第6世代機の開発の影響で改めて「戦闘機の世代」に注目が集まっています。
 各世代ごとの戦闘機をご覧いただくと、時代ごとに特徴的な外観をしていて、その当時求められていた性能などを伺うことができます。
 個人的には、世代が進んでいく毎に見た目の個性がなくなりつつあるところに悲しさを覚えますが、その裏側に求めた能力を伺うとやはりすごいなと感心するばかりです。
 ※ちなみに見た目では第2世代戦闘機のF-104が私のお気に入りです。

F-104スターファイター。
F-104スターファイター。細長いフォルムでマッハ2という最高速度をたたき出した。Photo by USAF

 戦闘機という飛行機は、純粋に機械として性能の限界を追い求めて作られています。
 ただし、その性能は様々な面で人間の限界を超えてきました。
 そのため、今後生まれる戦闘機は、性能の向上と併せてパイロットの負担軽減策が今まで以上に重要になっていくと個人的には考えています。

あわせて読みたい
日本一優しいミリタリー系航空機図鑑
日本一優しいミリタリー系航空機図鑑
スポンサーリンク
ABOUT ME
じょー
じょー
ブロガー
元海上自衛隊パイロットで現在は会社員。 自衛官を辞めたら、想像以上に知らない人が多いことに気づいたので、自衛隊や飛行機に関する話を独自目線で書き始めた。
記事URLをコピーしました