こんにちは!ジョーです!
2023年2月にインド空軍が「ヴィーア・ガーディアン23」(日印戦闘機共同訓練)のため、航空自衛隊百里基地へ展開しました!
これまで海上自衛隊がインド軍と共同訓練をした例はあり、最近も厚木基地にP-8が来ましたがご存じのとおりこの飛行機はアメリカ製の航空機です。
今回来日したSu-30MKIはロシア製の航空機です。ロシア製の軍用機が訓練目的で来日することは初めてで、日本周辺のロシアや中国も系列機を運用しているため、それらに限りなく近い性能の戦闘機と訓練ができることは非常に貴重な機会となります。
そこで、今回は日本で見るには非常に珍しいSu-30MKI戦闘機について簡単にご紹介します。
輸出で成功したマルチロールファイター機
Su-30という戦闘機はSu-27フランカーと呼ばれる戦闘機の派生型として生まれた代表的な第4.5世代戦闘機です。
※「戦闘機の世代」について気になった方はコチラをご覧ください。
この戦闘機はそれまで対戦闘機をはじめとした空対空戦闘のみ行っていましたが、対地攻撃など新たな任務を行えるように改良したところが大きく異なります。また、新たな任務ができるようになりましたがパイロットへの負荷を軽減するため複座(2人乗り)型にしています。
この進化の流れはたびたびライバル機として登場するF-15がA~D型の制空戦タイプから戦闘爆撃型のE型の誕生と非常に似ております。
ただし、開発された1990年代のロシアはソ連崩壊などの影響で、財政状況が悪く容易に採用できる状況ではありませんでした。
そこで、国内向けではなく輸出向けの戦闘機として各国に売り込みをかけたところ、インドやマレーシア、中国など12カ国へ輸出され、630機以上が各国で活躍しています。その後、経済的に回復してきた2009年ごろからロシアでも採用されました。
※ちなみにF-15は7カ国へ輸出
なぜ輸出に成功したのか?
開発された当時のロシアはソ連崩壊の影響で不景気でした。
そのため、不景気を脱するために行った経済政策の1つがその高い工業力を活かした製品の輸出です。また、当時F-15に匹敵する性能を持つということで新興国を中心に注目されます。
対するF-15は、アメリカ議会が承認した同盟国でもごく一部の国にしか輸出されないため、購入するには金銭のほかに「国としての信頼」という大きなハードルがありました。
1990年代から中国をはじめ東アジアで経済発展した国が増え、それに応じて各国が防衛力向上のため戦闘機を選定しようとしました。
しかし、F-15は高いですしF-16は比較的安価でしたが輸出に関してはレーダーなどの装備も含めてアメリカの判断次第となり、本来要求しているよりも性能が低い可能性がありました。そこでSu-30に白羽の矢が立ちました。
そして輸出で成功した要因は特に以下のような点が挙げられます。
1:輸入国の要求に応じて西側の電子機器を装備できる(オプションの対応が柔軟) 2:運動性が非常に高い(状況によってはF-15に勝っちゃう・・らしい) 3:兵器や燃料搭載量が多い(当時の輸出の対抗馬はF-16やミラージュ2000、グリペン等)
結果、少し高いけどF-15Eなどの戦闘機に匹敵する多用途戦闘機が比較的低いハードルで手に入るということで輸出実績を作り上げました。(ちなみに今も追加購入やライセンス生産などで実績を伸ばしています。)
Su-30のスペックなど
Su-30の性能や見た目の特徴は次の通りです。
スペック
主要スペックを航空自衛隊のF-15Jと比較しながら紹介します
Su-30MKI | F-15J | |
乗 員 | 2名 | 1名 |
全 長 | 21.94m | 19.4m |
全 高 | 6.35m | 5.6m |
翼 幅 | 14.70m | 13.1m |
最大速度 | M2.3 | M2.5 |
航続距離 | 3,000 km (機内燃料のみ) | 約4,600km |
主要兵装 | ・GSh-30-1 30mm機関砲 ・赤外線誘導ミサイル:R-73 ・レーダー誘導ミサイル:R-77、R-27等 ・対地、対艦、対レーダーミサイル、爆弾等 ミサイルは最大12発搭載可能 | ・M61A1 20mmバルカン砲 ・赤外線誘導ミサイル :AIM-9、AAM-3、AAM-5 ・レーダー誘導ミサイル :AIM-7、AIM-120、AAM-4 ミサイルは最大8発搭載可能 |
見た目の特徴
F-15と比較すると非常に滑らかな流線形でF-15よりも角ばった部分は少なく、空力性能は非常に高いと推察されます。
また、運動性の強化に重点を置いているので、カナード翼やエンジンの推力偏向ノズルが装備されております。もともと運動性には定評のある戦闘機でしたが、重くなることで失われる運動性を回復させる意図もあるのかもしれません。
ちなみに、以前同僚の航空自衛官と話をしていたところ、同型機とDACT(異種航空機戦闘訓練)の経験がある方の話を聞いたということで感想を伺ってみたら「大きさの割に非常に小回りが利くためドッグファイトは苦戦した」とのことでした。
やはり侮れないということですね。
多彩な装備
Su-30MKIは、大小計12か所のミサイルや爆弾ができるハードポイントがあります。
そこには、空対空・空対地・空対艦や対レーダーミサイルや爆弾、ターゲティングや電子戦用ポッドなどを任務に応じて搭載が可能です。
おわりに
今回は、Su-30MKIについて簡単に解説しました。
ちょうど、仕事の関係で報道公開の際取材に入ることができましたが、
間近で見たSu-30MKIは自衛隊のどの戦闘機よりも大きく、
曲線の処理が非常にきれいだと感じました。
聞くところによると、来日当初はディスプレイをやろうとしたり、
柵越しに見学しているファンにワッペンなどを販売しようとするなどサービス精神が旺盛だったと聞いています。
今度来日するときは、デモフライト等してくれるとその性能のすごさを垣間見れるかもしれませんね!
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