【兵器解説】巡航ミサイル「トマホーク」とは?
こんにちは!
じょーです!
今回は、ニュースなどで注目されている巡航ミサイルのトマホークについて解説します。
ミサイルという認知はない方も「トマホーク」という名前は聞いたことがある方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は「巡航ミサイルって何?」、「トマホークってどこがすごいの?」といった疑問に焦点を当て解説します。
巡航ミサイルとは?
巡航ミサイルは一般的に「飛行機のように長距離を自立飛行し、地上などにある目標へ攻撃するミサイル」を指します。
そのため、外見上の特徴として飛行機のように翼とエンジンを備えています。
また、非常に長い距離(基本的には1,000km以上のものが多い)を飛行するため、巡航ミサイルにはロケットモーターではなく、小型のジェットエンジンが搭載されています。(発射時のブースターとしてロケットモーターを搭載していることはありますが、ジェットエンジン点火後は投棄されます。)

同じく長距離を飛行するミサイルで「弾道ミサイル」がありますが、これは巡航ミサイルと比較すると1発の威力は大きいですが大柄で高価なので、運用面で柔軟性が非常に欠けます。
弾道ミサイルに関する詳しいお話は下記の記事にて紹介しております。

そもそもトマホーク(Block V)とは?基本スペックのおさらい
まずは、今回日本が導入を進めている「トマホーク」の基本的スペックをおさらいしておきましょう。

トマホークの正式名称は「RGM/UGM-109」といい、「RGM~」は艦上発射型、「UGM~」は潜水艦発射型で発射する乗り物によって少し名前が異なります。
アメリカのレイセオン(現RTX)社で製造しており、アメリカ海軍とイギリス海軍が運用しているほか、カナダ・オーストラリア・オランダが現在日本と並び導入計画中です。
ちなみに、「Tomahawk(トマホーク)」という名前はアメリカの政府機関である海軍省の登録商標となっています。
トマホークのスペック

| 項目 | スペック |
|---|---|
| 全長(ブースター除く) | 5.56m |
| 翼幅 | 2.67m |
| 直径 | 0.52m |
| 速度 | 880km/h |
| 射程 | 900NM(約1,670km) |
| 誘導方式 | TERCOM、INS、GPS等 |
全長が5.5mというと、車のハイエースよりすこし長いくらいの大きさです。やはり、長距離を飛ぶために必要な燃料や複雑なセンサーを組み込むと大きくなるようです。
火薬が入っている弾頭部には、1000lbs(約450kg)の高性能爆薬またはクラスター爆弾と同じタイプの子弾ディスペンサー(小さい爆弾)が約170発入っています。
トマホークの最大の強みは、「レーダーに映りにくい山影や地表すれすれの超低空を自律飛行し、遠く離れた目標へ正確に着弾する」点にあります。
さらに日本が導入する最新型「Block V(ブロック5)」は、飛行中に目標を変更する機能や、航行する敵艦艇を狙う対艦攻撃能力も強化されています。
トマホークのすごいところ
トマホークは約1,670kmもある長い射程がスペック上の最も大きな特徴です。
これは大阪から台湾くらいの距離で、自衛隊の護衛艦などが活動する日本海や東シナ海からだと中国や北朝鮮、ロシアの主要な都市をカバーできます。

さて、そんな遠いところまで飛べるトマホークですが、最もすごいところはそれほど遠いところにいる目標に対して極めて正確に命中させることができるところです。
その正確性はCEP(Circular Error Probability:平均誤差半径)が10mと言われております。
これは、例えばトマホークを10発発射した場合、その半数以上が目標の10m以内に着弾することを意味しています。
ここまで正確に誘導できるのは、トマホークを誘導するために利用するセンサーや、誘導方式に秘密があります。
トマホークでは、TERCOM(地形輪郭マッチング)という誘導方式をデビューした1980年代から採用しています。これは、事前にデータ収集した地形データを発射前に入力して、飛行しながらそのデータを測定・比較しルートを確認しながら誘導する方式です。
つまり、事前にコースを設定して発射したら、あとは勝手に目標まで飛行するので、着弾するところを見守るだけになります。
1990年代からはGPSが実用化され、座標データと高度情報をさらに照合させることで正確性が向上し、さらにそれまではできなかった「飛行中のルート変更」ができるようになりました。

そのため、発射前のデータになかった障害物などを回避することができるようになり、撃墜される確率が低下しました。
また、個人的には世界中の地形データを収集している米軍もすごいなと感じました。
この地形データこそトマホークの要となりますので、当然トマホークを売るとなるとこのようなデータも併せて手に入れることができるはずです。
・射程が長い(大阪から台湾までの距離とほぼ同じ!)
・正確性が高い(外れても目標の10m以内に着弾する)
・事前にコースを設定したら勝手に目標まで飛行する→その間に自分は移動できる。
進化を続けるトマホーク
トマホークは前述した通り、主に艦艇や潜水艦から発射されますが、現在陸上発射型が開発されており実証試験中です。
これは主にアメリカ陸軍が担当しており、大きなトレーラーにミサイルを入れたコンテナ(業界用語で「セル」と呼んでます)を入れ、発射するときはセルが上に向き発射体制に入ります。
これは、艦艇に搭載されているVLS(垂直発射装置)を専用のトレーラーで運び、発射位置に着いたらセルを上に向けてミサイルを発射するというコンセプトです。
従来のセルを転用できるので、比較的リーズナブルに作ることができると思われます。(陸上発射にする分、システムなどを再構築すると予想されますが・・・)
この発射実験は2023年6月に成功が発表され、引き続き実験中とのことです。

弾道ミサイルとの違い
スペックを見ていただくと「弾道ミサイルより速度が遅いから撃ち落される確率が高いのでは?」という疑問が湧く方もいるかと思います。
それは技術者も開発時点で分かっていることなので、「どうやって長距離を飛行している間に撃ち落されずに目標へ辿り着くのか?」という課題に対して「レーダーに探知されないくらい低い高度を飛び続ける」という答えに辿りつきました。
ちなみにトマホークの飛行高度は対地30~50mと日本の一般的なタワーマンションの真ん中くらいの高さで飛行します。そのため、トマホークは地表を飛行するときは物陰に隠れながら目標まで近づいていくのです。

つまり「安全地帯から発射して、相手にバレることなく攻撃する」ことがコンセプトになります。
対する弾道ミサイルは、その威力と落下速度で「捕捉できても迎撃ができない」、「直撃しなくても大ダメージ」という状況を作り出します。位置がバレたりしてもマッハ5以上で落下し町1つを消滅させるだけの威力を持っているので、発射して再突入さえできればなんとかなってしまいます。
しかし、ミサイルそのものの大きさや発射装置など全てが大掛かりでコストが高くなるところが欠点の1つです。
弾道ミサイルはニュースでもご覧のとおり「爆弾を乗せた宇宙ロケット」のようなものなので発射台も大掛かり、発射までの準備やミサイル本体の整備が繊細で時間がかかるなど、作ることも維持することも非常にコストがかかります。
・巡航ミサイルの方が命中まで相手に見つかりにくい
・弾道ミサイルの方が威力は大きい
・弾道ミサイルの方が何かとお金がかかる(コスパが悪い)
海自イージス艦に「トマホーク運用能力」が与えられた意味
ここからが今回の本題です。
防衛省は海上自衛隊のイージス護衛艦(DDG)にトマホークの運用能力を付与する改修を進めています。
しかし、これは「ミサイルを船の倉庫に積む」ような単純な話ではありません。

「買ってきただけ」では撃てない!イージス艦改修の内容
トマホークを発射するには、イージス艦の中枢システムとミサイルを完全に連動させる必要があります。具体的には以下のような改修が行われています。
・VLS(Mk.41 垂直発射システム)のハード・ソフト改修
ミサイルを格納・発射するセル(容器)の信号系統や安全制御ソフトウェアをトマホーク仕様へと更新。
・TTWCS(トマホーク射撃統制システム)の艦内統合
ミサイルに飛行ルートや目標データを書き込み、秒単位で射撃計算を行う専用コンピューターをイージス戦闘システム(AWS)に組み込む作業。
これらの改修を経て初めて、イージス艦のCIC(戦闘指揮所)から遠方の目標へトマホークを放てるようになります。
対象となるイージス艦群(全8隻体制へ)
現在、海上自衛隊が保有するイージス艦は以下の8隻です。これらに対して順次改修が進められています。
「まや」型(2隻): まや、はぐろ
「あたご」型(2隻): あたご、あしがら
「こんごう」型(4隻): こんごう、きりしま、みょうこう、ちょうかい
イージス艦の任務はどう変わるのか?「盾」から「盾+長槍」へ
これまでのイージス艦の役割は、主に「防空」と「弾道ミサイル防衛(BMD)」でした。
敵から飛んでくるミサイルや航空機を高性能レーダーで捉え、迎撃ミサイル(SM-2やSM-3)で撃ち落とすという、いわば「最強の盾」の役割です。
しかし、トマホークの運用能力を得たことで、イージス艦は「相手の脅威圏外から発射拠点や司令部を直接叩く打撃力(長槍)」を手に入れることになります。「守るだけ」の存在から、「守りつつ、必要であれば即座に反撃できる」万能艦へと進化を遂げたのです。
日米連携の深まりと「ターゲティング(目標情報)」の重要性
トマホークを1,600km先の目標に当てるためには、事前に「どこを狙うか」という精密な目標情報(ターゲティングデータ)が必要です。
日本単独ではカバーしきれない広域の情報収集(衛星画像や電波情報など)は、アメリカ軍との戦術データリンクや情報共有ネットワークを通じて補完されます。
アメリカからトマホークの購入を認められ、イージス艦にシステムを組み込めること自体が、「日米同盟における最高レベルの軍事・情報信頼関係が構築されている証拠」と言えます。
国産「12式地対艦誘導弾能力向上型」との役割分担
よく「国産のミサイル(12式能力向上型など)を開発しているのに、なぜトマホークも買うの?」という疑問が寄せられます。
理由は明確で、「即応性の確保とハイブリッド運用」です。国産ミサイルの量産と艦艇・航空機への展開には一定の時間がかかります。
すでに実戦経験が豊富で信頼性が高く、大量調達が可能なトマホークを導入することで、「今すぐ必要な抑止力の空白」を埋めることができます。
将来的には、国産長射程ミサイルとトマホークを併用することで、相手の防空体制を突破しやすい多様で重層的な打撃構造を作り出す計画です。
おわりに
今回は巡航ミサイルのトマホークについて解説しました。
自衛隊への導入が決まり注目度が高まっていますが、これが実現した背景は当然世論の影響が大きいです。
その効果は既に出ており、中国が「防衛3文書」を発表した後に日本へ批判したことで「脅威と感じている=抑止力を持ち始めた」と認識しています。
このような兵器を導入しようとするとどうしても「戦争が発生する可能性を助長している」という意見がございますが、一般的にその武力を「他国の主権を犯そうとすること」に使うことはありません。
それは、国連憲章や日本国憲法にも記載されているとおりで世界の一般的な共通認識です。
しかしながら、日本周辺の中国・ロシア・北朝鮮は自国の利益のみを優先するように見受けられるため、平和を築く世界的な努力を砕こうとしているとみられているのです。
なので、実際に日本の主権が脅かされる事態が起きてはならないようにすることと、万が一起きた場合の備えを始めたにすぎません。
防衛政策に関しては、防衛省のHPや防衛白書に記載されていますので、興味のある方は是非ご覧ください!
最後までご覧いただきありがとうございました!
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