兵器解説

【装備品紹介】海の開拓者 掃海艇

joe
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こんにちは!
じょーです!

いつもは飛行機に関する装備品を中心に紹介していますが、元海上自衛官ということで船についてもたまには解説してみようかと思います。

今回は空母やイージス艦ではなく、マイナーな「掃海艇」についてお話します。

海中の様々なものを探すことが得意な掃海艇、最近では海難救助にも活躍していることで有名です。そんな掃海艇の他には無い特徴や魅力をご紹介します。

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「掃海艇」とはどんな船?

掃海艇は英語で”Minesweeper”と呼ばれ、海にある「機雷(海中にある地雷のようなもの)」を取り除くために存在する軍艦です。

硫黄島で機雷を爆破処分する掃海艇
機雷を処分する様子。海上自衛隊HPより出典

機雷は設置されると、どこにあるのか一目では分からないので、特に船の往来がたくさんある海域に機雷があると、軍民問わずあらゆる船が「どこで被害に遭うのか分からない」という危険に晒され、動きが封じられます。

そこで掃海艇は海に広がる危険物を取り除ききれいにすることで安全を取り戻します。

掃海艇のお仕事

先述しましたが、掃海艇のお仕事は機雷を除去することが主なお仕事です。

しかし、最近ではその捜索能力を活かして海難救助の際、海中の捜索活動でも活躍しています。

機雷掃海のため、捜索作業を行う様子。
掃海のため機雷を捜索する様子。海上自衛隊HPより出典

機雷の「掃海」と「掃討」

機雷の除去には「掃海」と「掃討」の2種類に分類にされます。

簡単に分けると「掃海」はある程度範囲を決めたエリア内の機雷を一掃することを指し、「掃討」は機雷を1つ1つ爆破させるなどの方法で確実に無力化させることを指します。

これは、設置された機雷の種類や範囲によってどちらを行うか変わってきます。

「掃海」と「掃討」の違い

掃海:一定のエリア内にある機雷を無力化すること
掃討:機雷を1つずつ無力化すること。

海中捜索(救難目的)

海中捜索は基本的に先述の掃海で利用されるセンサーや技術を救難任務に転用しました。

後ほど解説しますが、掃海艇は操船能力とセンサーが非常に高精度となっており、海中で発見したものの正確な識別と場所の把握を行うことができます。

無人の機雷掃討具を海中へ下ろす様子。
機雷掃討のため無人艇を下す様子。海上自衛隊HPより出典

掃海艇ならではの特徴

掃海艇は、一般的な軍艦とは異なる特徴が目に見える部分と見えない部分にいくつかあります。(小柄というところでは無いです!!)

この特徴についてできるだけ簡単に解説します。

目に見える特徴

掃海艇最大の特徴でもありますが、ボディとなる船体が金属製ではありません

では、何でできているかというと「FRP(繊維強化プラスチック)」や「木」です!

機雷には磁気に反応して爆発するものもあるので、磁気を帯びないで強度のある素材が選ばれています。

航行中の掃海艇たち
航行中の掃海艇。海上自衛隊HPより出典

目に見えない特徴

掃海艇は正確に機雷の位置を特定して無力化させるため、推進装置とセンサーに他の軍艦とは異なる特徴があります。

推進装置

掃海艇は掃海任務などを行う際、風や波の影響を受けても正確な航路と自身の定点を保持する能力が必須です。

一般的な通常のスクリューだけですと前方向のコントロールできますが、横方向などへの細かな位置の修正ができません。

そのため、「サイドスラスター」や「アジマススラスター」という推進装置を搭載し、前後左右の位置を細かく修正することができるようになっています。

センサー

掃海艇のセンサーは主にソナーと言われる音波を使って物体の位置を特定するセンサーを利用します。

ソナー自体は、潜水艦をはじめとした艦艇全般に搭載されているメジャーなセンサーですが、掃海艇に搭載するものは求める性能がそれらとは異なります。

潜水艦などの艦艇は遠い距離で目標物の方位や距離(またはその両方)を探知することが目的ですが、掃海艇はとにかく高精度の情報を得ることが目的。

そのため、海中のマッピングができるほど高精度の情報が得られるソナーを搭載しています。これほど精度の高い情報を得ることで機雷が「どこに」、「どのような種類」なのかを確認できるのです。

日本で活躍する掃海艇

日本では海上自衛隊が掃海艇を保有しており、普段は太平洋戦争の際、アメリカ軍が日本中に敷設し残っていた機雷を取り除くため日々奮闘しています。

ちなみに戦争中アメリカは日本に数万発の機雷が敷設され、いまだに除去しきれていない機雷がたくさんあります。
そのため海上自衛隊は発足から現在に至るまで世界最高水準の機雷掃海の技術と装備を保有しています。
現在活躍している掃海艇は以下の4種類になります。

海上自衛隊で活躍する掃海艇

・あわじ型
・えのしま型
・ひらしま型
・すがしま型

このうち、「ひらしま型」と「すがしま型」は木製の船体でそのほかの2種類はFRP製です。ちなみにあわじ型は後述する理由で、掃海艇ではなく掃海艦と区分されています。

海上自衛隊で活躍する掃海艇①

もし、掃海艇の一般公開へ行く機会があればぜひ船体を外からよく見てください。木目が見えるかもしれません!

海上自衛隊で運用中の掃海艇②

掃海艇と掃海艦の違い

掃海艇と掃海艦は見た目などほとんど変わりありません。では、どこが違うかというと「大きさ」です。

現在自衛隊で活躍する「あわじ型掃海艦」と「えのしま型掃海艇」では長さが約3m異なりますが、見た目では分かりづらいかもしれません。この区分の違いは長さではなく「基準排水量」をもとに区分しています。

この基準排水量が600トンを超えると「掃海艦」、600トン未満の場合「掃海艇」と分けられています。

掃海艇」と「掃海艦」の違い

基準排水量が・・・
600トンを超えると「掃海艦」
600トン未満の場合「掃海艇」

おわりに

掃海艇は前述のとおり、基本的には機雷を探して取り除くことで海の安全を確保することが主な任務です。

そのため任務中は、機雷がどのタイミングで作動するのか分からないので、緊張感のある雰囲気になります。

ちなみに幹部候補生学校に在学中の時、掃海艇部隊へ研修しましたが、当時は護衛艦部隊より航空部隊に近い雰囲気でした。

これは個人的な見解ですが、比較的少人数で運用するので組織的な横のつながりが強いことと、1人1人が自分の役割をしっかり考えて動いていると思いました。

カレーを作る海上自衛隊の給養員
カレーを作る掃海艇の給養員 海上自衛隊HPより出典

掃海艇の乗組員は結構フレンドリーな方が多いので、掃海艇を見学したときは面白いお話が聞けるかもしれません。そして、掃海艇のご飯もやはりおいしいです!

おいしいご飯の秘密はコチラをご覧ください。
 
自衛隊の中でも比較的マイナーですが、個人的にはおススメの配置なので自衛官を目指す方は参考にしてください!

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    ブロガー
    元海上自衛隊パイロットで現在は会社員。 自衛官を辞めたら、想像以上に知らない人が多いことに気づいたので、自衛隊や飛行機に関する話を独自目線で書き始めた。
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