【航空機の基礎】ジェット機?プロペラ機?何が違う?

ボーイングB787 飛行機紹介

 こんにちは!
 ジョーです!

 いつも飛行機や自衛隊について、自分の経験談を交えながらできるだけ分かりやすくその世界をご紹介しています。

 今回は、飛行機に関する基礎知識について紹介します。
 
 皆さんは飛行機を見たとき、「ジェット機」や「プロペラ機」、「レシプロ機」などという言葉を一度でも聞いたことがあるかと思います。

 さて、これらがどういう違いなのか分かりますか?

 案外知ったかぶりをしていた人もいるのではないでしょうか?
 ここまででドキッとした方や飛行機の興味が湧いてきた皆さん、「ジェット機」と「プロペラ機」、ぜひその違いを知ってください!

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ジェット機とプロペラ機の違い

 皆さんが見かける飛行機は基本的にいわゆる「ジェット機」と「プロペラ機」の2種類になります。
 この2つを分けるとこんな感じです。

 ジェット機→「ジェットエンジン」で動く飛行機
 ・プロペラ機→「プロペラ付きのエンジン」で動く飛行機

となります。
 なので、プロペラの有無で見分ければ大丈夫です。

C-130輸送機
代表的なプロペラ機の1つ、C-130輸送機。

 ここで、読んでいただいた方には『「プロペラエンジン」って種類のエンジンはないの?』って思った方もいるのではないでしょうか?
 
 結論からお伝えすると「プロペラエンジン」というエンジンはありません!しかし、「ジェット機」と「プロペラ機」、たびたび区別されるこの2つをもう少し詳しく説明すると・・・

 ジェット機→空気を高速で噴射すること(ジェット噴流)で動く飛行機
 ・プロペラ機→プロペラを使って空気をかいた力(プロペラ後流)で動く飛行機

となります。なので、前に進む力(推力)がどうやってできるのかでこの2つは分けられます。そのため、エンジンの構造で分けられた種類ではありません。

 さて、プロペラ機の話が出たときによく「レシプロ機」という言葉が出てきます。これは、プロペラをつけた飛行機でしか見ませんが、一概にイコールにはできない重要な違いがあります。

「レシプロ」とは?エンジンの違い

 前述しましたが、ジェット機とプロペラ機はエンジンの種類で分けられた違いではありません。この2つはあくまで前に進む力(推力)に何を使うかという違いでした。
 
 しかし、「レシプロ機」と呼ばれている飛行機が世の中にはあります。
 さて、このレシプロ機とそれ以外の飛行機は何が違ってどのように分けられるでしょうか?

 この違いがエンジンの「構造」です。航空機のエンジンは主に以下の2つに分けられます。

 レシプロエンジン→ピストンエンジンのことを指し、ピストンの往復運動でエネルギーを生み出すエンジン。自動車のエンジンと同じ構造。
 ・タービンエンジン→羽根車を利用したタービンの回転運動でエネルギーを生み出すエンジン

という大きな構造の違いがあります。

 それぞれの長所や短所はいろいろありますが、一般的には1~4人乗りくらいまでの小型機ではピストンエンジンの航空機が多く、それより多い人数が乗り込む飛行機ではタービンエンジンが多いです。
 
 ただし、世界の軍隊や自衛隊が保有する練習機はタービンエンジンを採用しています。これは、純粋な性能によるメリットというより、運用面でメリット(燃料の共通化など)があるのでこのようにしています。
 
 第2次世界大戦のときなどで出てきた「星型エンジン」や「V型エンジン」はピストンの配置した形によるものです。

代表的なピストンエンジンの飛行機、セスナ172。

タービンエンジンの種類

 皆さんが見る飛行機やヘリコプターの大半はタービンエンジンを搭載しています。
 このエンジンの種類について簡単にご紹介します。

 1:ターボジェットエンジン→タービンから発生したジェット噴流を推力にするエンジン
 2:ターボプロップエンジン→エンジンのジェット噴流でプロペラにつながるタービンを回して推力を発生させるエンジン。
 3:ターボシャフトエンジン→エンジンのジェット噴流でシャフトを回すエンジン。ヘリコプターに用いられ、シャフトの先にはローターがつながるトランスミッションがある。
 4、5:ターボファンエンジン→エンジンの吸気部分にファンをつけて、ジェット噴流を利用しファンを回すエンジン。推力はジェット噴流+ファンの噴流で発生させる。

タービンエンジンの種類 wikipediaより出典

 上記の④と⑤は「ターボファンエンジン」ですが、④は入口のファンが大きく⑤は入口のファンが小さいです。これは、取り込んだ空気を燃焼室へ送る比率が違います。

 この比率を「バイパス比」といいます。この一般的にバイパス比が大きいと燃費がいいですが、エンジンの直径も大きくなります。これは、エンジンの一番前にあるファンを大きくすることで、そこから生み出す空気流も推力に利用しコア部(燃焼室などがある部分)への負担を減らし、燃費を向上させようとしています。
 
 なので、経済性を優先する大型機は④(高バイパス比ターボファンエンジンと呼ばれる)、性能(加速力や最高速度)やサイズを重視する戦闘機などは⑤にしています。

F-2戦闘機とF-16戦闘機
ターボファンエンジンを搭載しているF-2戦闘機(手前)とF-16戦闘機(奥2機)

 最近では発展型として、ギヤード・ターボファンエンジンというエンジンが開発され、既にエアバスA320neoなど、一部の機体では採用されています。
 このギヤード・ターボファンエンジンというものは、エンジンの一番前方にあるファンの回転数を最適な回転数に減速させて、より効率よくファンから推力をさせることができるようになりました。

エアバスA320neo
ギヤードターボファンエンジンを搭載したA320neo。

 でもこの構造、断面図をみるとターボプロップエンジン(②)とすごく似ているんですよね!
 ターボプロップエンジンは、ターボファンエンジンほどスピードは出せませんが、燃費がターボファンエンジンやターボジェットエンジンに比べて非常にいいので、民間機では短距離路線、軍用機では哨戒機をはじめとした長時間の滞空が求められる飛行機に使用されることが多いです。

代表的なターボプロップエンジンの旅客機、ボンバルディアDHC-8-400。

おわりに

 今回は飛行機のエンジンにまつわる基礎知識について簡単に解説しました。
知っているようで知らない部分もあったのではないでしょうか?

改めてまとめると、
 ジェット機とプロペラ機の違いは、
 ジェット機→空気を高速で噴射すること(ジェット噴流)で動く飛行機
 ・プロペラ機→プロペラを使って空気をかいた力(プロペラ後流)で動く飛行機

 
 エンジンの構造は主にレシプロエンジンとタービンエンジンの2種類があり、レシプロ機はレシプロエンジンを動力にした飛行機となります。
 レシプロエンジン→ピストンエンジンのことを指し、ピストンの往復運動でエネルギーを生み出すエンジン
 ・タービンエンジン→羽根車を利用したタービンの回転運動でエネルギーを生み出すエンジン

 
 このタービンエンジンの種類の1つに皆さんがジェットエンジンと呼ぶ「ターボジェットエンジン」や「ターボファンエンジン」があります。
 

代表的なタービンエンジンの「ターボファンエンジン」

 ちなみにこのエンジンの種類はパイロットのライセンスにも関係があり、飛行機のライセンスは「自家用」や「事業用」のほかにエンジンの種類でも「タービン機」と「ピストン機」という形で分けられ、試験の内容も異なります。(他にもライセンスを区分するものはいろいろありますが、今回は省略します。)
 
 ちなみに私が海上自衛隊で取得した事業用操縦士のライセンスは、「陸上多発タービン」という種類になります。※航空学生のライセンス取得は高卒で21歳くらいに取ります。

 最後まで読んでいただき、飛行機にもっと興味や疑問が湧いた方はぜひ下記記事も併せて読んでみてください!

【質問コーナー】教えてJoeさん!!(飛行機の仕組み編)

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