【航空学生時代の思い出⑭】 チームで敵をやっつけろ!
前回のお話(航空学生時代の思い出⑬ 初めての大型機)はこちらから!
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こんにちは!ジョーです!! 航空学生時代の思い出第14弾!
第203教育航空隊編第2弾をお伝えします。前半の操縦訓練を終え後半は副操縦士としての要務のほかに戦い方について学んでいきます。そのほかにもチームを結成して訓練を乗り越えていく姿をお話します!
P-3Cの戦い方
ここからはP-3Cの戦い方について少し解説します。ただし、秘密に関わる内容はお伝え出来ないためどうしても気になる方は自衛隊に入ってから確かめてくださいね!
P-3Cの存在意義
P-3Cは「哨戒機」というカテゴリーの軍用機になります。この種の航空機の主なターゲットは「潜水艦」と「水上艦艇」です。特に潜水艦を無力化させることが重要な任務となります。
特にロシアが以前から保有する弾道ミサイル搭載型潜水艦は身を潜めながら核兵器を運搬することができるため、日本にとって最も驚異的な兵器の1つです。
そのため、海上自衛隊では発足当時より対潜戦力について非常に重要視しておりました。
では、なぜ対潜戦でP-3Cをはじめとした哨戒機が有効なのか少し解説します。
まず、潜水艦の一番の強みは「誰にも見つからずにターゲットにダメージを与える」ことです。そのため潜水艦のことを「The Ultimate Weapon」と呼ばれることもあります。これを逆説的に考えると「見つけさえできれば怖くない」とも捉えられます。
また、潜水艦の弱点として装備するセンサーなどの特性から「対空兵器の装備がすごく難しい」というところがあげられます。例えば対空レーダーを使用するなどしてしまうと位置がばれてしまうので「誰にも見つからずに」という強みを発揮できません。
そのため潜水艦には対空兵器を装備しているものはほとんどありません。
なので、哨戒機側は潜水艦から攻撃を受ける可能性は極めて低いのです。
ここで「護衛艦でも潜水艦に対して有利に対抗できるのでは?」と疑問に思う方もいるかもしれません。実際にヘリコプターを搭載し対潜戦に活用しております。
ヘリコプターの場合、同時運用できるセンサーの数と飛行時間が飛行機に比べて少ないため、より広大なエリアをカバーするには役不足です。
日本はその国土の周辺に太平洋・日本海・東シナ海と四方が海に囲まれておりその広大な海を守り切るにはP-3Cのような哨戒機がいると効率的に防衛力を行使できるのです。
下総航空基地ではこちらの理解を深めてもらうため「ミニP-3C」というものがありますので是非ご覧ください。
潜水艦との闘いは自然との闘い
前述しましたが潜水艦は相手に見つからずに行動できるところがに強みがあるため、見つけ出すことが他のアセットに比べて非常に難しいです。
基本的に潜航中の潜水艦を捜索するためには潜水艦から発せられている音を頼りに探します。
海中は空中と比べて音波に影響を及ぼす環境条件が多いです。それは温度のほかに潮流や水深、海底地形や底質(泥や岩など)等と多岐にわたり、普段からこれらのデータを積み上げないと環境に応じた探知距離や音の伝搬経路について事前予測ができません。
そのため「パッと」出撃しても予測とは異なる探知の仕方や音の伝搬距離が異なると潜水艦の位置が正確に割り出せず、成果が得られないのです。
そのようなことにならないよう海上自衛隊では海洋観測艦などが定期的に活動してデータ収集をしています。逆に周辺国で同種の艦艇が活動していると、データ収集されているため平時では最も警戒しなければいけません。
学生チーム結成
203教空のカリキュラム後半ではパイロットだけでなくTACCOやセンサーマンと言われるレーダーなどのオペレーターのクラスと合流し学生チームを結成し訓練を行います。
今まではそれぞれの配置で腕を磨いていきましたが、これからは他の配置の人とも協力し訓練をこなさなければいけません。
また、訓練は対潜戦ばかりではなく警戒監視や不具合への対処などに様々な内容を1回のフライトで行うため、訓練を円滑にマネジメントすることも実は求められています。(訓練のマネジメントは主にTACCOの学生が行う。)
そのため、自習時間中に集まりチームで訓練の予習をしたり、作戦会議を行っていました!
ただし、その時々で合同訓練ができる配置の数がどうしても各配置の教育の進度によって異なりますので、より多くの配置が合同で訓練のできるクラスは他の配置に関する質問を行いやすいので比較的機会に恵まれていると思います。
また、時期がずれていてもクラス間で自由に意見交換できる雰囲気ですので、休憩時間などの間に親睦を深めつつ質問するなどしていました。
おわりに
今回は203教空の訓練後半戦にあたる対潜戦などを含んだ訓練のお話をさせていただきました。
訓練後半戦では、TACCOやセンサーマンも含めた多数の配置の搭乗員も加わりチームを結成して訓練に取り組みました。そのため、訓練でより良い成果を収めるためにはコミュニケーションとチームワークが非常に重要な要素となります。
また、戦い方に関しては秘密を多く含むため、勉強するときなどは容易ではなく今までとは異なった苦労もありました。
それでは次回もお楽しみください!
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