【徹底解説】韓国軍レーダー照射事案について

ニュース解説

こんにちは!ジョーです!!

 今回は再び話題に上がった「韓国軍火器管制レーダー照射事案」について解説と自身の見解についてお話します。

 ニュースで出ている意見とは少し違う部分もあります!改めて紐解くと韓国政府や韓国軍のレベルっていったい・・・?

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韓国軍レーダー照射事案とは

 2018年12月20日に海上自衛隊第4航空群(厚木)所属のP-1哨戒機が平素の監視飛行中(海上自衛隊のP-1/P-3Cは毎日各航空基地から担当エリアの警戒監視のため監視飛行をしている。)、日本の排他的経済水域(EEZ)内に韓国艦艇及び韓国警備救難艦を確認したことから写真撮影を実施、その際に韓国艦艇より火器管制レーダーの照射を受けたため、安全確保のため回避行動をとりました。

 その後、この報告を受けた防衛省は外務省を通じて韓国側へ強く抗議しましたが、韓国側はこの事実を否定したばかりでなく、「低空で脅威飛行したこと」への謝罪を求めるなど意見が食い違ったまま今日に至っています。

P-1型哨戒機 海上自衛隊HPより出典

経過概要

 2018年12月20日:午後3時ごろ、警戒監視のため日本海を飛行中のP-1が韓国海軍「クァンゲト・デワン」級駆逐艦より火器管制レーダーの照射を受けました。

クァンゲト・デワン級駆逐艦 防衛省HPより出典

 この時、付近に韓国の警備救難艦も所在しておりそれぞれの状況を確認していたところ急遽火器管制レーダーを探知したため離れつつ危険の有無を再確認し現場から報告しています。

 ちなみに、P-1やP-3Cはこのような探知データを機上ですぐにどのようなレーダなのか識別できますが、記録して母基地へ持ち帰り精密解析を行い性能を丸裸にすることができるようになっています。 ※そのデータは秘匿度が非常に高く極めて専門的なので私も在職中に触れる機会はありませんでした。

 その後は翌年の1月にかけて実務者協議も行いましたが双方の意見が食い違い、2019年1月21日に防衛省が最終見解をリリースして区切りをつけましたが今日に至るまで解決はしていません。

韓国レーダー照射事案に関する最終見解について ←こちらからご確認ください。

防衛省YouTubeチャンネルより出典

何が問題なのか?

 この事案で問題とされている点は日本と韓国でそれぞれ異なる意見が出ています。最大の問題点はこの点にあります。つまり、共通の認識ではないため議論はかみ合っていません。

日本側の主張

  • 韓国軍艦艇から火器管制レーダーを自衛隊機に対し照射した→偶発的軍事衝突の可能性がある

これは日韓ともに2014年に合意しているCUES(Code for Unplanned Encounters at Sea:海上衝突回避規範)の「2.0 SAFETY PROCEDURES」にも明記されておりますが、

2.8 海軍艦艇が確実に実施すべき処置

2.8.1:艦長または船長(これに準ずるもの)は、誤解されるおそれのある動作をとる前に、起こり得る結果を考慮する必要がある。なお、慎重な指揮官が一般的に回避する動作は次を含む

a)遭遇した船舶または航空機の方向へ、砲、ミサイル、火器管制レーダー、魚雷発射管またはその他の武器を向けることによる攻撃の模擬

CUESより引用

 上記より火器管制レーダーを向けることは安全措置として一般的に避ける動作とされております。つまり、韓国軍が行った行為は自衛隊に対する模擬攻撃と捉えることができます。

韓国側の主張

 韓国側は火器管制レーダーを照射していないとしながら重ねて以下の主張を展開しました。

  • クァンゲト・デワン級駆逐艦は救難警備艦とともに北朝鮮の遭難船に対する救難作戦を実施していたところにP-1が低高度で接近する威嚇飛行を行った
  • 日本側は国際民間航空条約及び航空法を引用してP-1の飛行高度は国際法上問題ないと主張しているが、国際民間航空条約は民間機に適用される条約であり軍用機には適用されない。それゆえ、日本は国際法を恣意的に歪曲して解釈している。
  • クァンゲト・デワン級駆逐艦遭難船舶救助のために探索レーダーだけを運用していた。仮に韓国側がP-1に向けて火器管制レーダーを照射したならば、P-1は即座に回避行動をするべきだったにもかかわらず、レーダー電波を探知したことを確認しながらも広開土大王に再度接近する異常な行動を見せた。

これらの主張に対して韓国側の主張は以下の理由から日本は受け入れていません。

  • 低高度で接近する威嚇飛行→P-1はこの時高度500ft(約150m)水平距離500m(航空法及び国際民間航空条約で規定されている最低安全高度を超える距離)で飛行しており威嚇にあたるとは言いづらい
  • 国際民間航空条約及び航空法を引用して飛行高度は国際法上問題ないと主張しているが、国際民間航空条約は民間機に適用される条約であり軍用機には適用されない。→たしかにこれらは軍用機に対して規定された規則ではございませんが、軍用機を対象とした世界共通の安全規則もないため、「一般的な世界の共通認識」として平時の運航は国際民間航空条約などに基づいて軍用機も運航されています。
最低安全高度について 今回の場合は上図のうち航空法施行規則の「ロ」が該当する。
  • クァンゲト・デワン級駆逐艦は遭難船舶救助のために探索レーダーだけを運用していた。仮に韓国側がP-1に向けて火器管制レーダーを照射していたならば、P-1は即座に回避行動をするべきだったにもかかわらず、レーダー電波を探知したことを確認しながらも広開土大王に再度接近する異常な行動を見せた。
  1. 捜索レーダーだけを運用していた→火器管制レーダーを探知した事実があるため矛盾している。
  2. 火器管制レーダーを照射していたならば即座に回避行動をするべきだった→回避した
  3. レーダー電波を探知したことを確認しながらも再度接近する異常な行動を見せた→「レーダー電波を探知したことを確認しながらも・・・」とは事実認定している?P-1側は一時的に安全確保が取れたため、状況を再確認のため再接近した

韓国の主張に対する日本の対応

 結局韓国は日本の主張に対し別の理由も加えつつ否定し、かえって事態の収拾がつきづらい状況を作ってしまいました。

 また、実務者協議を開催しても議論は平行線を辿るばかりか「客観的な証拠がないため、証拠を提示しろ」等要求がエスカレートしました。

 実際に保全措置を施したうえで1月14日に開催された実務者協議にて探知した際のデータを提示しましたが韓国側は、「ただの機械音にしか聞こえず、どこで・どの方位で・どんな周波数のものなのかは分からない」と一蹴しました。

 ちなみにこの時、韓国側から提示された火器管制レーダーを照射したことに関するデータの提示はありませんでした。

 この状況に防衛省は最終見解で「一連の韓国側の対応ぶりや、これまでの韓国側の主張が一貫しておらず信頼性に欠けるものであることを踏まえると、韓国側が事実とは全く異なる主張を繰り返していると結論付けざるを得ません。このような状況においては、相互主義に基づく客観的かつ中立的な事実認定が困難であるため、これ以上実務者協議を継続しても、真実の究明に資するとは考えられません。」

 と韓国と話し合うこと諦めました。

なぜ、再び注目されたのか

 これは8月18日に報じられた韓国の「中央日報」の記事が発端で再び火がつきました。

文在寅(ムン・ジェイン)政府で、軍当局が低い高度で近接飛行する日本海上哨戒機に対して現場指揮官が追跡レーダーを照射するなど積極的に対応するよう指示をする指針を作っていたことが確認された。2018年12月~2019年1月、相次ぐ日本海上哨戒機低空威嚇飛行に伴う措置だった。追跡レーダーの照射は艦砲やミサイル攻撃の意志を伝えるものだ。ところでこの指針は韓国防空識別圏(KADIZ)を絶えず無断進入する中国や領空を侵したロシアには適用されない。そのため公海で唯一日本との交戦は辞さないという趣旨となる。

17日、与党「国民の力」の申源湜(シン・ウォンシク)議員によると、2019年2月軍当局は「日哨戒機対応指針」を海軍に通達した。これはその年1月に作成した「第三国航空機対応指針」とは別途の指針だ。

「第三国航空機対応指針」は公海で第三国の航空機が味方艦艇に近づいた場合、段階的に対応するよう指示する内容を含んでいる。第三国航空機が1500フィート(約457メートル)以下に降りてきて近くまで接近すれば、味方艦艇は相互を識別した後、通信で警告するなどの4段階の手続きに従って行動するよう定めている。1次警告が通じなければさらに強硬な内容のメッセージを2次として発信しなければならない。

ところで「日航空機対応指針」は「第三国航空機対応指針」と比べると、1段階さらに追加された5段階となっている。日本軍用機が2次警告通信にも応じず近距離を飛行した場合、「追跡レーダー照射」で対抗するように規定した。追跡レーダーは艦艇で艦砲やミサイルを狙うために標的の方向や距離、高度を測定するレーダーだ。射撃統制レーダーと称したり、日本では火気管制レーダーとしても使う。

朝鮮日報より出典

 つまり、文政権では日本の哨戒機に対してのみ接近する場合は火器管制レーダーを照射するよう指示していたということです。ということは当時の現場指揮官は政府の示した指針に従い、意図的に火器管制レーダーを照射していた可能性が極めて高くなりました。

 ちなみに記事中ではキム・ジンヒョン前合同参謀本部戦略部長(予備役海軍少将)が次のように述べております。「日本は我々と政治的葛藤はあったが、軍事的衝突にまで続いたことはなく、事実上安保分野では協力する国」とし「日本が攻撃する可能性が高くないにもかかわらず指揮部が曖昧な命令で艦長に軍事的衝突を起こしかねない行動を委ねたのはやり過ぎ」と指摘しました。

ジョーの個人的見解

 この事件が起きた当時、現場からは離れていましたが私の周りでは韓国に対して否定的なものを中心にいろんな意見が飛び交っていました。

例えば「また韓国がいちゃもんつけてきた」とか、「何してるんだ!!けしからん!!」とか・・・

 私もこの一連の事案について韓国に対し否定的な立場です。

 今回の事案に対する現場経験も踏まえた個人的な見解は以下の通りです。

  • 火器管制レーダーを照射したことは事実であるにも関わらず、言い訳を重ねて謝罪しない韓国側のメンツはくだらない
  • 仮に火器管制レーダーを照射しなければP-1の動静把握ができなかったと仮定すると、捜索レーダーを使ってもP-1を追尾できなかったのは捜索レーダーの性能不足またはオペレーターの練度不足
  • 北朝鮮の漁船を捜索していたならば、現場でP-1側から通信が来た際に伝えればよかった。呼びかけに対し聞こえなかったとのことだが、500mの距離で障害物も無いにも関わらず聞こえなかったのは無線機の性能不足またはオペレーターの練度不足
  • 国民感情を優先した対日政策で国際的ルールを無視した韓国政府のスタンスは自ら国際的立場を落とした

といったところです。

国家間の関係性構築も付き合う相手はよく選ぶことが大事と思い知らされた事案だったと思いました。

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