雑談

エアバンドで聞いた管制交信をSNSで流してもいいのか?

joe
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 こんにちは!
 ジョーです!
 いつも飛行機や自衛隊について、自分の経験談を交えながらできるだけ分かりやすくその世界をご紹介しています。

 みなさんはエアバンドなどで聞いてみた管制交信をSNSなどで公開したいと思ったことはありませんか?
 おそらくですが、「やってみたいけど本当に公開していいのかわからない」という方が多いのではないでしょうか。
 そこでそんな疑問を解消するためにいろいろ調べてみましたので紹介します。

管制交信の取り扱い

 まず、管制交信をはじめとした無線に関するルールについて、「電波法」という法律のもとで定められています。
 そして、電波法に基づく情報通信行政を管轄しているのが総務省です。その総務省に質問したところこのような回答が届きました。

空港で飛行機などに通信を行う管制塔。
空港で飛行機などに通信を行う管制塔。

質問の内容

 総務省の窓口に送った質問が次のとおりです。

Q:飛行機の愛好家をはじめとした趣味を持つ方にエアバンドレシーバーを使用して、パイロットと管制官との交信や警察無線などを聞いて趣味として楽しむ方がおります。
 一部の方はSNSにその内容を公開しているところを散見します。
 SNSへの公開について個人的に調べたところ、電波法第59条に抵触すると考えたのですが、あくまで「個人的な見解」を超えませんでした。
 もしかしたら、受信している周波数やその内容、公開したアカウント(アクセスによって収益を得ているものなど)によって判断は分かれるのかもしれませんが一般的な見解についてご教示いただけますと幸いです。

 ここで出てくる電波法第59条というのは次の内容で、秘密の保護に関して定められています。

 第五十九条 何人も法律に別段の定めがある場合を除くほか、特定の相手方に対して行われる無線通信(電気通信事業法第四条第一項又は第百六十四条第三項の通信であるものを除く。第百九条並びに第百九条の二第二項及び第三項において同じ。)を傍受してその存在若しくは内容を漏らし、又はこれを窃用してはならない。

e-Gov 法令検索 より引用

 個人的には、聞くこと自体は許されているけど、その内容を拡散することについては『業務上の秘密を無差別に展開してしまうのでは?』と考えたので、このように質問しました。

総務省からの回答

 総務省から届いた内容は次のとおりです。

A:航空無線を傍受し、その内容を他人に漏らした場合に電波法第59条に抵触し、違法行為となる可能性がありますが、罰則規定である第109条が適用されるか否かについては、航空無線に「秘密」が存在するかどうかがポイントとなります。

 さて、通信上の秘密を他人にもたした場合の罰則規定である電波法第109条について確認しましょう。

第百九条 無線局の取扱中に係る無線通信の秘密を漏らし、又は窃用した者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
2 無線通信の業務に従事する者がその業務に関し知り得た前項の秘密を漏らし、又は窃用したときは、二年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

e-Gov 法令検索 より引用

総務省の担当者は加えて下記のようにコメントしました。

 「秘密」とは、非公知の事実であって、実質的にもそれを秘密として保護するに値すると認められるものとなりますが、航空無線に「秘密」が存在するか否かの判断は司法判断となります。
 仮に航空無線に「秘密」が存在することが明らかであれば、当該無線通信を傍受し、その内容を、「他人に話す」「SNSへ書き込む」「インターネットの動画投稿サイトにアップロードする」という行為は、他人の知りうる状態におくこと、又は無線通信の秘密を発信者若しくは受信者の意志に反して利用したこととなることから、本行為者は無線通信の秘密を漏らし又は窃用した者に該当する恐れがあり、電波法第109条に抵触するものと考えることができます。
 なお、航空無線を傍受し、その内容を他人に漏らす、又は窃用する行為が電波法第109条に違反しているか否かについては、司法判断に服することになります。

 エアバンドで傍受した内容に秘密を含む場合、電波法第109条に抵触する場合は罰則が与えられることとなります。

ここまでのまとめ

 法律の話がたくさん出てきて、わかりづらい部分があったと思いますのでまとめると次のようになります。

エアバンドレシーバーで傍受した航空無線の内容を公開したらどうなるのか?

・航空無線を傍受し、その内容を他人に漏らした場合に電波法第59条に抵触し、違法行為となる可能性がある。
・もし、その内容に業務上の「秘密」が含まれる場合、その発信者は電波法第109条に抵触する。
・電波法109条に抵触かどうかの判断は司法判断による。

ユーザーはどうするべきか?

 上記までの内容を踏まえると、航空無線を傍受すること自体は特に問題はないと解釈できます。
 なので、個人の趣味としてエアバンドレシーバーやLIVE ATCで航空無線を聞くことは法律に抵触しないと判断できます。

 しかし、その内容や実際の音声について、「他人に話す」「SNSへ書き込む」「インターネットの動画投稿サイトにアップロードする」という行為は、他人の知りうる状態におくこと、又は無線通信の秘密を発信者若しくは受信者の意志に反して利用したこととなるので電波法違反と判断されます。
 XやYouTubeなどでたまに航空無線を垂れ流しにする方が見られるようになりましたが、この事実を航空会社や官公庁などが気づいてそのユーザーに対して訴える可能性が十分考えられます。
 そうなると、「航空無線の音声データを発信した」ことに対する事実確認と「音声データに秘密を含む内容の有無」を確認した上で司法判断され、罰則が与えられるかどうかを裁判で判断されるということになるかねません。

 そのため、個人で聞くだけというところをしっかり守ってください!

結論:エアバンドで聞いた管制交信をSNSで流してはいけない!

おわりに

 今回は『エアバンドで聞いた管制交信をSNSで流してもいいのか?』をテーマに、総務省へ問い合わせた内容を紹介しました。
 既にYouTubeなどで配信している方もいるようですが、はっきり申し上げて「今後どうなっても仕方ない」という状況です。
 私もブログやSNSで情報発信していますが、航空会社や官公庁から注意を受けたり、訴えられるかもしれないというのはリスクが高すぎるので、「やらない」という判断になります。
 
 これを読んだ人は「今まで、そんなことされてないから大丈夫!」という軽率なコメントをする方もいるのでしょうが、「今までたまたま気づかれなかった」だけなので、いわゆる犯罪予備軍の仲間入りをしていると自覚した方がいいです。

 ちなみに、エアバンドレシーバーで傍受した音声を大音量で垂れ流しにする方が各地の飛行場周辺にいらっしゃいますが、これは単純にマナー違反だと思っているので、近くの100円ショップでイヤホンを買ってください。

 エアバンドレシーバーなどで航空無線を聴くこと自体は非常に面白い体験なので、気になる方は下記記事をご覧ください!

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    元海上自衛隊パイロットで現在は会社員。 自衛官を辞めたら、想像以上に知らない人が多いことに気づいたので、自衛隊や飛行機に関する話を独自目線で書き始めた。
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